イマワノキワ

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終末トレインどこへいく?:第10話『これこそ反抗と退廃の証』感想ツイートまとめ

 終末トレインどこへいく? 第10話を見る。

 最終目的地を前にして、ぬいぐるみに無力化された父を乗り越え、創作の魔力を悪用する連中を椎名町に打ち倒す回である。
 ナベシンテイストが相当に濃い、第8話とはまた違った異様なテンションで展開する話であるが、全話数最も『な、何が起こっているんだ…』感が正直強い回でもあった。
 父との再開と椎名町決戦、大ネタになりそうなのを二つ一話に入れ込んでしまった結果、どうにもグリップが弱くなった感じが自分の中で強い。
 作風画風を高速で切り替えるメタギャグも、もうちょい尺が欲しいかなーと思った。

 冒頭玲実がメチャクチャ晶に甘えていて、それは作中ずっと続いてきた味わいであるのだけども、世界を巻き込んだ大きな終末が可視化されたことで、”最後”な味わいがひっついて少し寂しく、怖くもあった。
 ポップでキャッチーな外装で包んで、極めてグロテスクで残酷なものをズズイとお出しする作風であるので、今後の展開がどんだけ洒落にならない取り返しのつかなさを叩きつけてきても、あんま意外ではないなと感じている。
 晶にだけ特別に意地悪して、追いかけ回し追いかけて貰って、距離感を確かめながら”いつも”を続ける玲実の計算高い能天気も、その例外ではない…と思うことで、万が一への備えを造ってる感じだ。

 

 そういうブルブル感を横に置いて、池袋への道のりは結構サクサク、ハイテンションなノリと勢いで突っ走っていく。
 切り裂かれても綿しか出ない、脱臭された暴力の痕跡は極めてこのアニメらしく、『つーか四人だったのに、一人減ってるじゃん…』という感覚も、作中特に言及されることはない。
 7G以降当たり前になってしまった狂気と死を、あたかもなんてこと無いポップなイベントのように通過するための、人格変化を含むぬいぐるみ化。
 吾野柔術に代表される父の力を奪ったそれを、静留は今まで通りパワフルに打ち破って椎名町の古臭い作家たちを改心させ、未来への道を切り開いていく。
 すげーサクッとした親超えだったな…。

 作風と画風をガンガン切り替え、創作者の歪な理念を長台詞でパナシながら展開していく椎名町決戦は、やっぱ一本じっくり向き合ったほうが美味しいネタだった気はする。
 変化した画風が異化作用を定着させる前に、次の変化が押し寄せてしまって、ノるより早く話が流れていった感じが自分にはあった。
 第8話の悪趣味なメタ改変は相当染みたので、ここら辺は個人的な波長との相性も大きいのだろう。
 ベレー帽連中の語る作家論・時代論が、あんましっくり来てないってのもあろうか。
 もうちょい露骨なトキワ荘パロとか、あっても良かったかもしれない。
 どうせ脂っこいアニメなんだから…とも思うが、結構そういうの避けてんだよな

 

 なんだかんだ僕はこのお話を(公式HPにあるキャッチコピー『未知を進んで友達を探す』のとおり)友情と青春の物語として見ており、前回・前々回と濃厚に葉香の方を見つめて盛り上がったテンションが、全然友だちの話しない展開にスカされちゃった噛み合わなさも、ここにはあるのかもしれない。
 狂気・友情・変化・終末。
 物語の核心(と僕が思っているもの)にグングンと迫って、さぁクライマックスだ! と勝手に意気込んだ気持ちが、上手くぶっ刺さってくれない生煮えな感覚。
  思い返すとこれまでだってまぁ、だいたいそういう話だった気もするし、もうちょい温度感が違った感じもするし…上手く言語化出来ないな。

 とまれ今回のエピソードは、不思議なくらい自分の中に上手く居場所を見つけられなくて、正直なかなか応対に困っている。
 大事なのは葉香が待つ池袋に突入した後のクライマックスであり、今回はその前のワンクッション…と割り切るのが、一番いいのかなー、とも感じた。
 僕の感じる限り、カオスに見えてシンプルなジュブナイルであること、カオスであることがシンプルな芯を強くしているお話なんだな。
 今回のエピソードには多分、その呼応があんま感じられなかったのだ。

 

 とにもかくにも旅は後一駅、魔女王待つ狂気の中心・池袋のみ。
 世界の命運かかりつつも、いつでも大事なのはたった一つ。
 次回も楽しみだ。