イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

「男らしさ」の神話

僕ら大好き講談社選書メチエの本。小野俊太郎。ホームズを端緒に、(ハードボイルド)探偵小説とスパイ小説という二本の「マッチョな」小説の変遷を追いかけることでアメリカン・マチズモの変化を見るという視点の本。目の付け所がまずよい。やはりアメリカン・マチズモの重要な象徴としてハメットやチャンドラー、ル・カレその他は重要視されるべきだと思うし、そういう視点からすればヘミングウェイがキッチリ分析されるのはむしろ当然のことなのだ。そこらへんの視点の確かさが全編を貫通しており痛快。文献調査もしっかりしており、読みやすさも重々であり快著。ハードボイルドを知るならまず触るといいと思う。