イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

昴 1−11

曽田正人ビックコミックス。ブックオフで漫画売るついでに思わず一気読みしてしまった。いや、凄い漫画である。バレエという身体表現の極北を、剃刀で規律けら得れるような緊張感のある漫画でキッチリ書いてるのが一つ。そしてクラシックミュージック、チェス、囲碁将棋と並んで競技ピラミッドの泰山のごとき高い世界、天才の上の上しか一番にはなれない世界を、壊れた天才である主人公に一切の物語的類型、いわば「おやくそく」を使わずに迫るその手法がもう一つである。主人公昴は天才だが、天才に付随する現象である理解不能、というのを「理解させなければ存在すら出来ない」物語という形式の中で、極力リアルに生で切り取ろうとしている。そして、恐ろしいことに漫画だけが持つ圧倒的な圧力で、その異質性を丸ごと手渡しにしてくるのである。
現在休筆中らしいが、これだけ圧力の高い漫画だと神経も相当参るだろう。無理もないことである。ともかくやはり曽田正人の漫画力は凄い。