イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

闇のイージス 21

七月鏡一藤原芳秀小学館。対に20の大台を突破したハードボイルド・ダークヒーローの傑作。相も変わらず面白い。芸のない表現だが、20間ずっと面白いのは凄い。そして、最近七月先生の意識は強くテロリズムに向いている。だからこの作品も一種の「説教漫画」と言っていいのかもしれないが、その前に驚異的に面白い漫画である。そこがやはり、凄い。
チェチェンはやはり、僕も気になる問題である。というよりプーチンという政治家個人が率いる現在のロシアが、だろうか? どちらにせよ、チェチェンという泥沼は本当に深く、暗い。その情念を抱えた男が戦場を日本に再現しようと選んだのが、戦車でも戦闘ヘリでもなく、ましてやランボーじみた重火器と爆薬による戦闘ではなく狙撃、であることは漫画家としてのこの二人の驚異的な嗅覚だと思う。
狙撃手の優位は主に1 遠くから 2 隠れて 3 的確に 撃てることだ。見えない対象から、一発の外れもなく降り注ぐ銃弾は、爆炎よりも確実に殺す人間の存在と、その人間とは分かり合えないという絶望を切り取って、戦場を劇的に抉り出す。作中にも的確に描写されているが、狙撃主は的確に敵戦力の意図を読み、位置を変え、偽装を施す。ゆえに、この日本で戦場を作り出すのに狙撃手を、そしてそれに対抗する勢力(暴力)として特殊部隊を設定したのは、なんともいえない鼻のよさだと思う。