イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

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森博嗣講談社。二度目の読書。帰りの電車で活字が切れたので、東京駅地下の本屋で購入。ちょうどなかったし。さてはて、一回目は「森博嗣一気読みツアー」のラストとして、ある意味疲れた状態で読んだ。疲れていた。ここに至るまでにVシリーズは大人組みの汚さに苛立ち、青年組みのけなげさに胸を切り、どうにも疲れる読み物なのだ。そんな状態で読んだので、疲れた。
今回、シリーズ最終話をぽん、と取り出して読んでみた。面白かった。いい話だった。ミステリとしてはどうでも良い。ていうか出来はよろしからず、である。いいのは、全体の調子だ。最初から崩壊していた世界の崩壊、音も立てずに壊れていく世界。元から壊れ物だったことを承知していた大人、その気配にも気付かない子供。その、静謐な無残が、森博嗣のソリッドな視点と絡みあい、なんともいい味を出している。
そんな世界で唯一色づく、紫子さんと練無くんの青春は素晴らしく鮮やかだ。そこが、僕はとても好きだ。そのことを、この奇妙な読書で気付かされた。Vシリーズは微妙、とも思っていたが、この終りがあるなら、そう悪いものではないな、などと思った。