イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

兵器ハンドブック 湾岸戦争/フォークランド戦争

三野正洋他、朝日ソノラマ。「ベトナム戦争」と同じシリーズの湾岸戦争フォークランド戦争版。前作と同じく、単なる兵器のカタログスペックの羅列ではなく、戦争に至る経緯から戦争の推移の方向性、兵器の運用、作戦成功/失敗の分析と、「戦争ハンドブック」とでも言うべき内容である。
僕はミリタリーオタだから、もちろんエグゼドとかM1とか、そういう言葉には無条件で心が躍る。だから、このように正しく戦争を分析し、いかにして人が死ぬのか、を確かな数字で表した資料は適切に読むべきなのだと感じている。
兵器はカッコイイ。少なくともこれは僕には事実だが、それが使われる戦争は政治手段の一つであり、結果、人が死ぬ。たくさん死ぬ。子供も女も死ぬ(戦争もあるし、最近起きた) そのことは忘れてはいけないのだ。
それと同時に、単純にミリオタとしてこの本は面白い。多角的な分析と鋭い視座は、戦争の軍事側面を丁寧に抉っている。しかしそれだけではない。非常に正確で、ある意味無機的な記述だからこそ、戦争という人間行為に関しては有用かつ有効なのだ。良著。
なお、1998年の再発行の時点で「近年起こるであろう新たなる湾岸戦争」とアフガン=イラク戦争を予告していたことは特記しておく。