イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

少女ファイト 10

日本橋ヨヲコ講談社。一年スパンの単行本発行が、そろそろ身体に馴染み始めたバリボ青春マンガの十巻目。今回は厚子の家庭事情と、真理の死の掘り下げ、そして東京大会の準備と本番という内容。10巻にしてようやく、バレーボールという競技の細かい技術に触りだしたりした。「いまさらかよ」という感情よりも、「スポーツモノの基本に触らず、人間関係だけで十巻保たせたんだなぁ」という驚愕のほうがデカい。でも、やられてみるとやっぱり、こういうテクニックの解説は扱っている競技の彫りが深くなって、作品に踏み込む入口になってくれるなぁ、という印象。
これはガチ初心者小田切が、ひよこを脱して少しは使える奴になってきた、という作中事情も関係してる。技量・リーダーシップ共に頭抜けているものの、喘息というアキレス腱を持つ鏡子が軸になる以上、黒耀谷は小田切で回す局面がかならず来る。今までは「お前がミスっても、アタシらでどうにかする」でどうにかなってきたけど、東京代表とか全国とか、戦いのレベルが上がってくると、「出来ません」の小田切ではキツい、ということだ。やる気全一な小田切はようやく細かい技術を教えて貰える位置まで上がってきた、ということなのだろう。
となるとチームとしての実力も上がるし、何より練がやる気満々で、才能を振り回すことを恐れずガンガン意見を言う。練は天才だし、競技のテクニックを言語化し、他の人に教える才能もあるわけで、「彼女がチームをリードするならそら強くなるだろうな」という印象を、都大会対策で感じた。同時に前に出ることに濃厚なトラウマがある子なので、今回は真理の死、陣内監督の真実を知ったブーストあってのことかな、とも思う。ココら辺、黒耀谷はまだまだ脆い。
そんなこんなで都大会。……ポンバシ先生、アイドル好きなのは知ってたけど、ちょっと露骨すぎやしませんかね。Rっぽい人がぼっちとか、Jっぽい人がテッペン狙ってるとか、渡辺さんが前髪いじってるとか。名無しも峯岸に秋元と宮澤かな、千歳緑は。試合の方はバレー職人モードの練が機能しまくって、わりかし楽に勝利。Jの体力不足という解り易い弱点は、鏡子と被ってねーかな。しかしまぁ、この世界で根性剥き出しなのは強みであり、全国での再戦が楽しみなチーム。
そして隙のない強豪紫苑との対戦へ。全国への切符を握っているからか、ここで陣内監督、エースとリベロを下げる。プレイの正確性もさることながら、バレーを理解してる二人が下がることで、ゲームを組み立てられない黒曜谷。チームの穴がボロボロ見えてきて、小田切はプレイ途中で失神、練はベンチで奥歯を噛み締める。それでも鏡子がコートに入るとゲームの形になるところと、練の一番深い部分を陣内監督が見たのは良かったな。相手の紫苑は……前田に板野に篠田に……なんで加藤なんだろ、推しメンなのかな。柏木っぽい人もいる。
防衛行動的に「バレーやめてもイイよ」と口にする練に、ショックを受ける小田切。そのピンチをカバーしたのは、なんと隆子。つーか隆子のデレがすごい速度で進んでいて、僕は嬉しい。雨宮という本物のバケモノがいるから、ラスボスやんなくて良くなったからかな。小田切がやる気を取り戻し、隆子が真理の面影を小田切に見る中、練が全国選抜に選ばれた所で次回に続く、と。
スポーツ漫画に必要な「壁」の描写として、紫苑戦が非常に鋭い仕事をしていたと思います。主力を欠いてゲームを作れないコートの中も、自分ではどうしようもない事態を見せつけられた練にも、これから何が必要かを突きつける展開。しかし、この局面で全国ということは……レベルの高さを練に見せて、さらなるスーパーエースとして覚醒、という流れかなぁ。自分の不甲斐なさを思い知った、小田切のリベンジも楽しみだし、非常に良い流れで大会本番に飛び込めそうです。あ〜おもしれえな、この漫画。