イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ミリオンドール:第3話『地下アイドルとご当地アイドル』感想

いろんなものと闘うアイドルアニメの最前線(ある意味)、三話目。
リュウサン爆推し態勢から少しはアイドルに尺が回るも、根本的に描写が足らず、事態だけがメジャーデビューに向けて進む。
マリ子の暗黒事務所っぷりやイトリオの葛藤よりも、リュウサンが昔の女(アイドル)を吹っ切る描写をじっくりやっているあたり、色んな意味でフツーのアニメではないな、全く。

お話の段階だけはジワジワと進んでいるのだが、特にアイドルの内面に切り込む描写がなく、進行した物語に対しドル達が何を感じ、何を考えてくるかは、推測に頼る部分が大きくなってしまっている。

実際に活動し前進していくアイドルにも、グッズを封印し気分を入れ替えたリュウサンと同程度の描写は、やっぱり欲しくなる。

それならばとリュウサンのヲタライフを徹底して掘っていく開き直りは流石になくて、アイドル側もチラッと描かれる。

しかしそれはメジャーデビューというイベントを進展させるのに必要最低限な描写に過ぎず、そのことでアイドルの心がどう変化しているのかは、やっぱ伝わってこないのだ。

一般的なアイドルアニメでは徹底的にドルに寄せる物語的重点を、ファンサイドにずらして多角的にしてるのがこのアニメの特色だと思うのだが、現状リュウサンの生臭いヲタ活だけがクローズアップされ、アイドルの生臭さはよく見えないままだ。
短い時間を長く使う圧縮された演出があるわけでもないので、物語の進展に視聴者は置いて行かれてしまうことになる。
一番力を入れて描写されているリュウサンに乗っかれということなのかもしれないが、一般論としても個人的感覚としても、現状エゴイストであるリュウサンを好きになって、彼に自分を預ける信頼感は生まれにくいだろう。

群像劇的な構造、ドルとドルヲタという馴染みのない題材、単純なガッツストーリーではないねじれたテーマ。
このアニメが内包する色んな物は、あまり3分アニメで扱うべきではない要素なのだろう。
しかし現実に、三分という短い尺の中にこれら難しい要素はブチ込まれてしまっているわけで、難しいなりに上手く対処してくれれば……と思いつつも、三話を見る限りそれは叶っていない。
こっから逆転ホームランがあるのか、ないのか。
のっぺりとした展開と描写に、なんらかの血潮が通うことを期待している。