イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うしおととら:第10話『童のいる家』感想

脚本が米村先生にバトンタッチしたうしとら十話は、爽やかなボーイミーツガール。
原作からして短めの話なので、詰め込みつつも情を見せる余裕が端々にあって、味の濃いアニメになってました。
創作妖怪もいいけど、伝統妖怪を藤田先生がアレンジした話もやっぱ良いなぁ。
藤田先生のお話は相当資料読み込んだ上で、溢れる伝奇・妖怪愛をぶッコンで『俺の話』にするわがままが溢れてる。
すっごくグッド。

今回のお話はヒロイン小夜の物語的太さを存分に活かした話で、手弱女ながら自分の道を見つける少女の強さと可憐さが最高でした。
やっぱTV版うしとらは、原作のラインを活かしつつ現代風に可愛くリファインされてて、控え目に言って最高。
人間(というか僕は)結構現金なもんで、助けるべき女の子が可愛いとやっぱぐっと前のめりになるし、温度も上がるわよね。
出会いである湯浴みのシーンは幻想的に、別れである「バカねっ!」のシーンは芯の強さを。
作中の印象をしっかり視聴者に伝える演出がイキイキしてて、見てて心躍るヒロインでした。

そんな小夜とイチャコラするのが潮くんですが、今回も怒るべきところで怒り、引くべきところで引く見極めの巧さが光ってました。
槍で結界ぶっ壊しちゃうのは簡単に出来るんだけど、今回のお話はオマモリサマを外に出せば終わりというわけではなく、小夜の決断こそが大事。
ヒロインの心の強さをグッと前に出した待機が出来る潮は、ほんとトス上げうまい。
お話の都合で待っているのではなく、小夜の可能性に心の底から期待して、決断のチャンスを譲ってる感じが良いんだよなぁ。

今回のお話は『風狂い』と対になっている感じで、遠野良い妖怪を助けようキャンペーンの一貫。
オヤジとババアの我利我利亡者っぷりは漫画より抑えられていましたが、なかなかのゴミっぷりであり、いい敵役でした。
こうして『悪い妖怪、良い人間』だけではなく、『良い妖怪、悪い人間』もいると潮が学んでいく過程を、アクションとドラマたっぷりに見せてくれる構成はとっても良い。
テーマを大上段に貼っつけるのではなく、あくまでエンターテイメントとして楽しみながら飲み込めるってのは、最高に贅沢であります。
成長といえば、日本刀構えた手練くらいなら髪伸ばさず制圧できるようになってんのね、潮くん。


今週は潮メインの話なのでやや引き気味だったとらちゃんですが、潮が拾っていないオマモリサマを「コイツも……閉じ込められていたのか」の一言でキャッチしに行く手腕が巧すぎる。
共感は話に潜り込む最高の材料なので、なんかフック出来るポイントを見つけてぐっと前に出て、盾になって体を張ることで切迫感も出すというのは、スマートなやり方でした。
序盤で「なんでおめーはそういう風に首突っ込むんだ!」と潮を突っついてたり、一緒にお風呂に入ったり、すっかりデレたなぁこの大妖怪。

お風呂で『色々ありましたが、コイツラも共闘を経て背中を預ける間柄になりました』って見せてくれるのは、バディものの醍醐味であり美味しいシーンだった。
戦闘シーンでアツく絆を確かめるのも良いんだけど、なんてことない日常の一コマを共有してるシーンが入ると、しみじみと良さを噛み締められて有り難い。
とらちゃんも潮も子供なので、リラックスしてるシーンだと無邪気さが際立つのも、グッドなポイントですね。

オマモリサマは茅野さんの演技もあって、神秘性と無邪気さが両立した良いキャラでした。
最後の舞いのシーンは、場面の説得力を引き出すべくちゃんと力を入れた、立派な見せ場だった。
小夜が最後に答えを出す立場なので、『外に出たい、白い髪の女を開放したい』という自分の答えは早めに断言しておくのが、地味なファインプレー。
ヒロインが二人共グダグダ迷ってると、お話自体も迷うからね。


分量が多い所を駆け足してきたココ最近のうしとらですが、今回は原作からしてまとまった話なので、ゆったりと進みました。
やっぱこのくらいの分量がベストではあるんだが、色々制約がありまくるのもわかるし、非常に悩ましい。
圧縮したお話が面白くないわけではなく、というか最高に面白いので、贅沢な悩みだ。

そして来週はまさかの鏡回。
これまで五話とか六話とかあった原作が、なんと一話という珍しい回を、どういう見せ方してくれるのか。
久々の真由子麻子は可愛いのか。
楽しみだなぁ。