ヴァニタスの手記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
破天荒なヴァニタスに翻弄されながら、ノエは花の都を駆け巡る。
人と鬼が隣り合うために生まれた掟を超えるべく、夜の街に繰り出した二人に立ちふさがる影。
聖女の名を持つ処刑人と、その主が求めるのは罪の書、救済の奇跡であった。
そんな感じの吸血奇想のモダン・パリ異聞、ヴァニタス第2話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
ヴァニタスとノエの出会いにクローズアップした1話から、華やかなパリ…吸血鬼が潜むその影に視野を広げて、超絶強そうな処刑人も顔を出して…という展開。
相変わらず華やかでド派手で、見ていて大変楽しい。
世界観的にはかなり色んな要素が詰め込まれていると思うのだが、見せ方を的確に絞ってくれているので、混乱せずに出されたものを食べれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
いきなりワッと全部出てきて、目を回しながら消化するのに手一杯…とはならないのが、大変ありがたい。
パリの美しい風景を楽しむ余裕を持ちつつ、我々の知る19世紀とはまた違った空気で胸を一杯にして、伝奇を味わう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
なかなか贅沢な視聴体験で、大変ありがたい。
やっぱ美術最高だな…大理石作りの高い天井が、大変リッチ。
(画像は"ヴァニタスの手記"第2話より引用) pic.twitter.com/6btn13hhWs
お話の方は過去回想のモンタージュなども交えつつ、ノエとヴァニタスの凸凹な関係構築を追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
同時に吸血鬼社会の構造も見えてきて、作品理解が順当に進んでありがたい。
いや原作読んでねぇから、めっちゃトンチキな思い違いとかバリバリしてんだろうけど…。
しかし謎めいたキャラクター、豊かな世界観、積み上げられていくドラマに魅せられて、色々覗き込んで先を想像する瞬間はやはり最高に面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
思い込みで間違えて『あ、そっかー!』てなる瞬間含めて、初見の醍醐味だとは思うので、存分に味わっていきたい。
とにかく贅沢なお話だからなぁ…。
というわけで、ノエくんの過去とかが意味深に示されつつ物語は進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
過去回想を繋ぎ合わせると、改竄式で歪められた親友を助けられなかった経験が、ヴァニタスの”救い”を特別なものとして受け止めさせてる感じか。
(画像は"ヴァニタスの手記"第2話より引用) pic.twitter.com/3rjT935ul7
しょりしょりと、己を貫くだろう白木の杭を削っていた美青年がなんともエロティックで良かったが、ノエくんもただただノンキな田舎青年ではないようで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
つーか回想シーン、空の風合いが尋常ではないな…蜘蛛の巣みたいなヒビが入ってる領域が、吸血鬼本来の居場所か。
そもそもこの世界の吸血鬼、いわゆる”ヴァンパイア”とはかなり違う存在なのが面白くて、異能と吸血衝動は共通しつつ、幼年期”が存在してるし、日光にも当たれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
スチームパンク技術もそうだが、異質な要素が世界の当然としてまず描かれつつ、その起源を追いたくなる面白さもある。
急に長台詞で世界の成り立ち説明されても消化できんわけで、それはドラマ転がしてから追々、という話なのだろうが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
真命を改竄され怪物の本性を表し、高貴で強力ながら呪われている。
かなり純粋魔術的存在だよなぁ…精霊、つうか言霊として吸血鬼描くのは、面白い視座。
石田彰が声当てておいて、”先生”がフツーのいい人の訳がない(偏見)ので、そこら辺も絡んで色々ありそうである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
そして伏せられた過去から繋がる現在は、その源流が見えなくともなかなか力強くうねっている。
キャラに目ヂカラがあり、意思と欲望がくっきりしてるのは良いよなー。
というわけで牢獄から開放され、花舞い散る憧れのパリへと踏み出すノエとヴァニタス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
牢屋の薄暗い重たさタメて、開放された瞬間の華やぎを強調するのは良い演出だった。
良い美術と合わせて、ノエのウキウキに強くシンクロできる。
(画像は"ヴァニタスの手記"第2話より引用) pic.twitter.com/CiFWfOkqQG
コミカルな描写も程よく混じって、因縁と欲望が渦を巻く暗いお話に光を当てているのは、なかなかいいバランスだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
移り気な犬のようにパリの光景に魅せられるノエを、青筋立てながら引っ張るヴァニタスが微笑ましい。
なんだかんだ、いい関係じゃん。
そう思える。
しかしそこに安住させない陰りも随所にあって、この明暗のバランスが良い。吸血鬼という題材、パリという場所によく噛み合っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
そういやヴァニタスのピアス、砂時計なんだな…。
彼が名前のとおり、”寓意静物画”としての属性を持つのなら、そのアトリビュートが意味するのは”生の儚さ”だ。
これが不治の病を改ざんし、死にゆく鬼を生に導く”医師”を飾っている所に、かなり強めのネジれを感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
ジャンヌの武器も”CARPE DIEM”だし、バロック精神の濃い作品だ。
それが19世紀に取り残された、旧い種族の雰囲気をより良く伝えもする。
死は華やかな街に常に付きまとい、『私を忘れるな』と語りかけ続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
主要人物にとって改竄式という呪い、それが生み出す死の宿命…を前提にした吸血鬼社会ってのが、それぞれどんな意味を持ってるかが、結構大事な話なんかな。
良いじゃない、正しくBAROQUEなお話だ。吸血鬼はこうじゃなきゃ。
蒸気自動車が列をなすパリの表通りから、少し離れた場所に吸血鬼たちの居城はある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
フィクサーっぽい人の名前が”オクロック”で、思わず声を上げてしまった。吸血鬼映画の古典”ノスフェラトゥ”の敵役だ…オタクだなぁ。
(画像は"ヴァニタスの手記"第2話より引用) pic.twitter.com/XtpMKbrmUR
パリの吸血鬼社会はガッチンガッチンに因習で固められており、人間であるヴァニタスはそちらに寄り添うつもりが毛頭ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
不毛な言い合いの間、彼の姿は階段で隠れて見えず、吸血鬼社会にケリを入れてアプローチするのはノエの仕事である。
実態のない影絵芝居が、各々の主張をがなり立てるだけの虚しさとか、オクロックさんが側近守るの優先してる所とか、やっぱり演出がスマートかつ力強いお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
純朴な田舎者という、ノエの表層を突き破って出てくる暴力性。譲れない思いの強さ。
それが出口のない状況を動かし、ヴァニタスを覆う影を祓う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
青い呪いが鬼を殺す、世の理に反逆せし破天荒に負けない、ノエの力強さがよく出ていて、ここの机キックは大変良かった。
一瞬で書を奪ってるあたり、やっぱ吸血鬼としてもトップクラスに”暴”が強いんだな、ノエ青年。
オクロックさんが処刑の掟を曲げないのも、人に混じって鬼が暮らすためのルールなのだろうし、この世界の吸血鬼は基本、人に優しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
のだが、それだけでは渡れない因業がミチミチと、華麗な世界に満ちてる雰囲気も強くある。
吸血衝動も蒼い呪いもあるしねぇ…鬼がどう、人と折り合いつけるかは難しい
しかしそこでエゴの衝動に押し流されず、生き方を考えて抗おうとする姿勢が(主役のイケメンだけではなく、ムッツリ顔のおじさん吸血鬼にも)あるのは、なかなかいいことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
人であるとは、鬼であるとは、どういう事なのか。
吸血鬼の物語は、そこを問うからこそ面白いと僕は思っているのだ。
というわけで、人食い狼を狩りに街に出たら、超ろくでもないのとバッティングしちった!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
真紅の魔手甲”カルペディエム”、超かっけぇ…駆動する時の蒸気噴出とか、通常とは違う炎の色彩とか最高。
(画像は"ヴァニタスの手記"第2話より引用) pic.twitter.com/raYDP02y6i
ルカ少年は真っ直ぐなボーイだと思うのだが、ヴァニタスを奪わなければならない何らかの事情があり、彼の”騎士”たるジャンヌの実力を行使する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
ルカ・ルスヴンなのか他の”ルスヴン卿”がいるのか判らんけど、世界最初の吸血鬼小説から名前取ってるキャラがいるの面白い。ドラキュラより古いぜッ!
ジャンヌは問答無用の暴力気質を暴れさせてたけども、”ルスヴン卿の処刑人”から”ルカの騎士”になるにあたり、なんらか生き方を変えたいと思うイベントでもあったのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
ここの二人も、ノエ&ヴァニタスとはまた違った感じで凸凹コンビで、見てて面白そうである。
ルカくんがウッカリ相手に情報与えちゃう、駆け引き下手くそボーイであり、それでも政治をしなきゃいけない立場にあることも解った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
彼が救いたい相手は兄らしいが、その詳細は伏せ札である。
忌まわしき蒼の呪い、それが吸血鬼社会に及ぼす影響をもうちょい掘らんと、はっきりはしてこない部分か。
謎めいているといえば、ノエの言葉を受け取ったヴァニタスの表情も読みきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
人を救う、それは絶対的に正しい。だから、俺は貴方についていく。
ノエの言葉は、信念と決意が籠もって熱く爽やかだ。受け取って、嬉しいもののはずだ。
(画像は"ヴァニタスの手記"第2話より引用) pic.twitter.com/GpnnfvN30N
しかし彼らを切り取るレイアウトは窮屈で、ヴァニタスの表情は重たく沈んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
救済は正義であり、希望であり、善である。
おそらくは心に刻まれたトラウマからそう信じたいのだろう、ノエが縋ったヴァニタスの行いを、彼自身はひどくネジレた立場から見据えているのではないか。
そう思わせる、凝った画面構成である。マージでこういうバッキバキのレイアウトが、どんどん出てくるから嬉しくなっちゃうよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
ジャンヌが吐き出す赤い炎と、地下の蒼の対比もいいよな。
ヴァニタス達は、あくまで呪われた蒼い月の眷属なんだな。だから、大事なことは蒼いシーンでやる。
吸血鬼(かんじゃ)がどう感じようとも、医師たるヴァニタスは救いを与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
救世者の傲慢と確信が、彼を揺るがぬ変人として強く鎧っているが、その硬い殻の奥には何があるのだろうか?
ノエの秘密は、ジリジリと回想されてきている。ジャンヌの危うさも、ルカの未熟も。
欲望が暴力的な火花を散らす物語の、中心にあるヴァニタスは果たして、名前通りの空虚で完成された存在なのか、それとも脈打つ願いと痛みを抱えた人間なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
ここが一番見えなくて、だからこそ見たいポイントである。第1話の患者対応を見る限り、独善的な感じは薄いんだがな…。
吸血鬼が19世紀に対応しきれない、因習と呪いに縛られた社会に生きていることも、ジワジワと匂ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
このカビ臭い退廃と耽美がまさにヴァンパイア味で、大変にありがたい。やっぱ掟に反した野良犬を駆る、最悪の処刑人はいてくれないと困るよな~~~。
でもそこに落ちきらない活力も、この物語の吸血鬼たちは持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
分からず屋の教条主義者が、魔導書より部下の首根っこ優先して掴むわけがないんだよなぁ、オクロックおじさん…。
夜の住人が思ってたより人情派で、なんかありがたい気分になりました。
そしてだからこそ、歪みを強め獣を引き出す呪いは悍ましいし、因習の鎖は重たい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
複雑怪奇な渦に囚われ、それでも前に進むモノたちが身を置くのは、どんな岸辺か。
ジャンヌとの再戦が、キャラクターとドラマ、作品の舞台をより深く彫り込んでくれそうで、次回も大変楽しみです。
追記 道具が変われば切り口が変わり、口に入れた時の舌触りも変化する。差く品を認識する自分にとっても、その味わいを受け取る読者にとっても。
しかし『人間、自分の中にある要素と作品で描かれるものを化学反応させて、お話を紹介していくものだなぁ…』ということを、”シャドーハウス”と”ヴァニタスの手記”を連続して見ることで再確認している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
前者は児童文学、後者はゴシック小説と美術史。
邂逅した物語を自分が食べれるサイズに解体する時、僕が掴んだのはそういう工具だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
僕が今まで読んできた本、学んだものが、ジャンルをはみ出した時にも、理解のための仲立ちを果たす。
作品の…そこにある一つの世界を把握するにあたり、どんなツールを選ぶかに、見るものの個性はあるんだろう。
そこでポップカルチャーより古いものに戻ってしまうあたり、アニメブロガーとしての適正のなさ、フットワークの重さを感じもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月10日
が、まぁこういう古い道具を使うことで生まれる利便ってのも、またあるだろう多分。
どうやっても、僕は僕の中にある道具箱から、解体ツールを引っ張り出すしか無いのだ