ヴァニタスの手記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
ノエの心に刻まれた赤い後悔を弾き飛ばし、ヴァニタスは傲慢に死地を駆ける。
救済として少女を灰に変え、復讐として命を救う。
その横顔に、どんな想いが宿るのか。
仮面舞踏会の狂騒を超え、たどり着いた蒼い朝。
始まりの光は優しく、やがて来たる破滅を預言していた。
そんな感じのバル・マスケ編(一応)決着、ノエとヴァニタスの新たな出発、ヴァニタスの手記第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
シャルラタン→ベロニカ→ルスヴン卿と、乱入者が数珠つなぎになってなかなか忙しない展開であったが、ひとまず落ち着いた形か。
敵の正体不明、救済の行く末見えず。
手に入れたのは消えない悔恨と、目の前の男への興味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
ノエが”先生”に探求を命じられた、”ヴァニタスの書”。
それは彼が持つ魔導書だけを意味するのではなく、今回朝焼けに興味を持ち紐解きたいと願った、男の人生と心でもあるのだろう。
読んでも読んでも読みきれない、謎だらけの美しい書物。
その探求の果らには、どうやら悲劇的な別離が待ち構えているようだが、結末にたどり着くには読みきらなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
泣いて、笑って、救済と復讐の意味をお互いに探りながら、手繰り寄せる二人の終わり。
その新たな始まりたる朝焼けは、ヴァンパイアが浴びるには美しすぎて、とても印象に残った。
さてシャルラタンが仮面舞踏会にばらまいた、狂気の不協和音。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
自分この話をプログラムの比喩で見てる部分があるので、分散型ウィルスと考えると今回の事件、比較的分かりやすいかな。
混乱に飲み込まれる形でシャルラタンは退場していくが、ルイの失楽とノエへの執着…十分因縁は出来た形だ。
狂いきってるように見えて引き際は見定めててて、なかなか油断ならねぇロジック・テロリストだなって印象だけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
アイツラ自身、真名を歪められた吸血鬼とかなんかな? 誰の眷属かはわからんけど。
呪いの根源と憎悪される真祖ヴァニタスとは、象徴色が真逆なんで、真相は複雑そうだ。
ヴァニタスは宣言していたとおり身勝手な救済を奮い、手遅れになった少女を灰に変える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
変えられるはずのない滅びを覆せると、ルイを救えなかった無力感に新たな希望を見出していたノエは、その処分に猛り狂う。
その身勝手を自覚できるだけ、ノエは誠実な青年であろう。
勝手に期待して、勝手に裏切られたと叫ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
自身の行いをのちに、夢枕の”先生”に告解するノエであるけど、”救い”というのはそういうエゴの谷間にこそ望まれ、生まれるものだとも思う。
己に出来ない軌跡を、誰かに掴んでもらえるという希望が、人を前に進ませ、また狂わせる。
ルイが望んだ命の切断も、自身が願った万全な救済も掴めなかったノエは、ヴァニタスに奇跡を望んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
しかし当のヴァニタスは、神ならぬ自分の限界をよく知っていて、殺すことでしか終わらせられないという現実を、微笑みながら飲み込む。
それに怒り狂うのは、やっぱり目の前の青い男にだけは、自分が飲み込まれたような当たり前の限界を超えて、定めを書き換える特別さを望んでいたからなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
でもま、相手が望んで神様じゃなかってキレるのは勝手よね…自分でも言ってるけど。
フラつきつつも現状を誠実に把握した所で、凍てつく狂気のベロニカと、燃える隻眼のルスヴン卿が、どっかと追いついてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
”女王の牙”に”元老院”…また新しい設定がニョキッと映えてきたよ!
まぁこの話、新要素の説明はオイオイちゃんとされる作りなので、しっかり待つけどね。
ベロニカは極端な人間排斥主義者で、相当な実力者っぽいけども、その凶行をスパッと止めきるルスヴン卿の政治的・魔術的実力はそこが知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
さすがロマン主義吸血鬼物語の始祖、ポリドリの”吸血鬼”で暴れまわる麗人悪鬼を名にし負うだけはある。
蒼の眷属という厄種をわざわざ懐に抱え込んで、一体何を企むか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
吸血元老の素顔と狙いは、次回以降掘り下げてくるポイントかな。
政治力が高い彼と接近することで、赤い巴里の政治、社会構造が見えてくると、そこに興味がある僕は嬉しい。
それは先の話として、夢枕に”先生”と語らったノアはその言葉通り、ヴァニタスという”書”を暁光に読もうと目を凝らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
朝ぼらけ、吸血鬼たちのパリは美しい青に染まり、大きく開け放たれた窓から新たな運命が始まっていく。
(画像は"ヴァニタスの手記"第6話より引用) pic.twitter.com/NAsBvN8wE2
目の前の男は何を背負い、何を思って救済を唄うのか。復讐を叫ぶのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
ナイフをむき出しに自分を遠ざけようとする一撃を軽く受け流して、ノエはあくまで純粋無垢に、その在り方を見定めようとする。
その視線に、けして無垢ではありえない傷だらけのエゴイストたる自分が、反射しているようにも思う。
彼に探求を命じた”先生”も、血縁であるルイの運命を残酷に観察し、その破滅すら科学的に見定めていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
ヴァニタスの…彼に関わる自分と不幸と悲劇を知らないまま、ただ知りたいと無垢に、誠実に思い直す美しい朝には、ただ綺麗では終わらない獰猛さが、強く差し込みだす。
それはあまりに美しく、何処か悲しい色をした始まりの朝。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
俺はただただ身勝手に、貴方を読み尽くし、隣に立って、行末を見守りたいと願う。
鐘楼の鐘の音が、黄金の光が、ノエの思いを眩しき祝福していく。
(画像は"ヴァニタスの手記"第6話より引用) pic.twitter.com/M2IMjFWWAQ
その時、ヴァニタスは何処か寂しそうな、悲しそうな顔をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
未来に何が待ち受けるか、ノエが見通せないものを知っているのか。
或いは自分という書物に、どんな呪いが刻まれているか己は知っているからか。
すがられ、求められる喜びとは、縁遠い顔でノエの言葉を受け取る。
秘されたページの向こうにある過去、あるいは思いは見通せないとしても、ナイフをかざして凶暴を演じ、ノエを遠ざけようとした仕草にはなにか…切ないものを感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
それが溢れて、この複雑な顔になっているのかもしれない。
ノエの言うとおり、この男は矛盾と不思議に満ちた、読みたくなる”書”だ。
”ヴァニタスの手記(カルテ)”というタイトルは、なかなか複雑な意味を孕む良いタイトルだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
物語は全てが終わった後の、ノエの追想を刻みながら進んでいく。
そこでは全てが終わり果てて、砂時計は落ちきっている。
(画像は"ヴァニタスの手記"第6話より引用) pic.twitter.com/g9s0KVVg40
掴みそこねた手は奈落に落ちて、かけがえないものが残酷に奪われ、殺し過つ未来を無邪気な若きノエは知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
愚かしくも美しき日々を、終わりからさかしまに綴った”手記”がこの物語であり、そこにはヴァニタスという人間を見定めた病状が、karteに相応しく描かれていく。
鬼を狂わす呪い名という、宿命の疫病を治療する医師たるヴァニタスが、自身なんらかの患者でもあるからこそ、この物語は”ヴァニタスのカルテ”なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
ならば、ノエが命じられたヴァニタスへの潜書はその診察でもあり、歪みや痛みもひっくるめて引き受ける道が、この暁に定まったのだろう。
緋色のカーテンからちらりと、ルスヴン卿が覗き込む男たちの運命は、一体何処に転がっていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
輝きに満ちた朝が、悲しき夜に終わる運命を提示しながら、物語は新しいページへと移っていく。
その一つ一つが、ノエとヴァニタスが歩んだ青春であり、謎めいた”書”を読み解く営みである。
サド侯爵を、構成式世界を読みとかんとする魔術の輩と仮定すると、ノエはその弟子…無垢なる愚者と取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
ヴァニタスという魔術書を読み解くことで彼はその名に相応しい救済の賢者に近づいていくのだろうが、同時に知らないことの特権、無邪気でいられた時代からは遠ざかっていく。
大アルカナの0から1に進む道、そこで手に入れ失われるものを勝手に、ノエの未来に幻視しつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
物語は赤き元老議員の館を舞台に、新たな展開を見せるだろう。
ぜってーなんかあんだよな、ルスヴン卿…(その名前が文脈的に持つ意味合いから、重さを勝手に測るメタ読み)
とまれ、ぶっちゃけちとへニャってた作画がきっちり盛り返し、男二人運命の朝焼けを鮮烈に、美しく描いて物語は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月7日
やっぱこう、何かが決定的に動き出してしまう説得力がある”絵”は、大変良い。
そこに示されている美麗と残酷が、どんな風にお話を転がしていくか。次回も楽しみですね。