プロセカイベスト”Bout For Beside You”を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
覚醒を果たしたこはねの歌に、心揺れる杏。
胸の奥に膨れ上がるモヤモヤは、一体どんな気持ちなのか。
問いかけ、問いかけられて進む青春闘争の結末は…というエピソード。
”Awakening Beat”ラストの爆弾が、心地よく炸裂していく快作であった。
白石杏という少女は、ここまで揺らぎも弱さもとても少ない、安定して完成したキャラクターとして描かれてきたように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
彼女と出会い、新しいセカイを広げ、不安とともに成長していく素人・小豆沢こはね。
そのあこがれフィルターを通して描かれる杏は、いつでも揺るがずカッコいい。
無論彼女も一人間であり、例えば”いつか、背中合わせのリリックを”で見せたような焦りや震えを、当然宿している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
しかしこはねが新しく出会い憧れるストリートの風を、具体化して背負う杏がかっこ悪くなることは許されない。
こはねが強くなるまでは。
前回覚醒を果たし、独り立ちの気配を見せたことでようやく立場は逆転し、杏はこはねを追う…少なくともその可能性を考える側に立てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
追いつけない焦燥、隣合えない寂しさ。
ここまでこはねがド素人として、ずっと抱き続けた物語的な燃料。
白紙のキャンバスを必死に塗るための、青春の絵の具。
そういうものを、杏も内言し思う存分悩んで良い立場になれたのだと思うと、このモヤモヤに満ちた苦しい物語は妙に、僕には輝いて見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
清く、明るく、いつでも揺るがずカッコいい。
こはねが下から見上げ続けた肖像が、追い抜かれて初めて見せる暗い色合い。
それは人間が人間である以上必然的に湧き上がる思いであり、それと向き合う中で少女の人格は陰影を増していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
こはねの成長は杏に、ただ毅然とあるだけではない、人間らしい複雑さをようやく許したのかもしれない。
それは…当人には辛いが、良いことだと僕は思った。
無論靭やかで颯爽とした天性は揺らぐことなく、ともすればどす黒い色合いに汚れてしまいそうな感情を、前向きに開放していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
この時暁人や健さん、ビビミクさんなど、周囲の人が見守り助けてくれる描写が多かったのは、凄くプロセカらしい。
悩んでいる人に答えを与えるのではなく、答えを引き出す問いを投げかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
とても難しくて、絶対に必要な行為をしっかりやってくれるのが、セカイの住人たるバーチャル・シンガーなのだけど。
今回のミクさんは”姐”としての頼りがいが凄まじく、まさに真骨頂という印象を強く受けた。
セカイはココロの反射なので、レンは杏の形のないモヤモヤを半歩先取りして、幼く率直な答えを既に語る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
相棒で居続けることへの不安と、だからこその焦燥。
それに足を取られず、前に進むための力に変えるために必要なこと。
適切な問に助けられ、自分だけの答えを掴むこと。
ミク姐さんの問いかけも鋭かったが、運命のストリートに娘を送り出す健さんの”親”の顔も、また輝いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
冬弥への複雑な思いを噛み砕き、推進力にして答えを見つけた同志として、彰人がぶっきらぼうにエールをくれるのも良い。
馴れ合わず、でも隣り合う。ストリートの呼吸と距離感。
そんな助けを受けつつ、杏が答えを見つけるのはやはり一人歌う時だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
こはねが隣りにいては感じられない風を、自分の原点に立ちながら思い返す。
何を望み、何を求めてあの時手を掴んだのか。
そうすることで、何を得られたのか。
歌うこと、自分の歌を聞くことで、彼女は自分と向き合っていく。
ビビッドストリートでのモノローグ、杏の脳裏に蘇る風景は、彼女が歌から離れられない引力の強さを感じさせてくれて、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
歌っている時、歌う自分を思うときに一番、セカイが良く見える。
白石杏は、そういう少女なのだろう。
だから、小豆沢こはねも惹かれた。運命だと思えた。
杏が暗い情動と向き合い、それに震えていたことを、無垢なるこはねは知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
それでも、杏がたどり着いた場所に追いつくような”正解”を、一発で手渡してくれる。
それもまた、運命に導かれた二人だからこその共鳴なのだろう。
今回、ずーっとこはねがポヤポヤ無邪気なの、残酷で綺麗で良かった。
杏は情動に思い悩むかっこよくない自分を、こはねには知られたくないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
多分彼女はそういうタイプのプライドで、背骨を支えている少女だ。
こはねがある意味無邪気に、大河さんの誘いを受け取って、杏の元を離れている間に、カッコいい自分を取り戻す。
そうでなければ、こはねに向き合えない。
そんな強がった取り繕いが、親愛と敬意のこもった焦りが、僕には凄く好ましく思えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
他の誰よりも好きだからこそ、モヤモヤも生まれる。
その曖昧な輪郭に、嫉妬か焦燥か不安か、どんなラベルを付けたものか一つ一つ、探っていく。
感情に名前を付けて、ねじ伏せるのではなく共存していく。
例えばニーゴの連中と違い、そういう陰りに囚われず、振りちぎって格好いい”白石杏”に戻って、こはねの前に立ち直せるあたり、ビビストで杏の話だなぁ、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
心のなかに深く潜るか、高く跳ぶか。
それはベクトルの違いであって、優劣でも善悪でも推し量れない、両方価値がある色合いなのだ
時の流れ、運命の潮。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
色んなものが否応なく二人を引き離しても、必ず追いついて側にいてくれると、必ず追いついてみせると、互いに誓い合える絆。
それを確認することで、杏はこはねの憧れたる”カッコいい杏ちゃん”に、前よりもずっと近づける。
そんな歩みが、ずっとカッコよかった少女に与えられたのはとても良いな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
こういう距離感を描く時、最初に出てくるだろう”嫉妬”つう答えをまず踏み越えて、深く深く心を探り、もうちょい風通しの良いラベルを張って正解とするのは、なんか凄くビビストらしい話運びだった。
”らしい”といえば、大河さんが新をボッコにして実力を示すまでの流れ、それにブルっちまう一堂がどう考えてもバトル漫画で、荒っぽい実力至上主義を味わいにする、ビビストらしい描写だなー、と思ったりした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
確実に”Here comes a new Challenger!”なんだよなぁ…。
大河さんのこはね特訓も、まだまだ本格的なところには行き着いていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
まず街を見ろと告げた真意がどこにあるかとか、越えるべき壁の具体的な顔とか、ユニットの今後に深く関わってきそうなネタが、たっぷり似たっている。
ここに箸突っ込んでいくのも、大変楽しそうだ。
しかし今は、ありふれた青春のモヤモヤを宝石のように磨きだして、自分だけの答えで顔を上げた杏に、おめでとうを告げたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
開始から一年、ようやくかっこ悪くても大丈夫な白石杏が見れた気がして、僕は奇妙にホッとした。
ここから、君はもっとカッコよくなる。楽しみだ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月12日
Boutにはボクシングなどの”試合”という意味と、”発作”という意味がある。
こはねの隣りにいるために、何と戦えば良いのか。
一瞬脳裏をよぎった暗い感情に、名前をつけて飲み下す。
青春の発作に抗い、否定するのではなく向き合う。
そういうBoutに、白石杏は勝ったのだ。