ぼっち・ざ・ろっく! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
後藤ひとりは、極度の人見知り。
ギターで道が拓けると思い込み、中学三年間を独習に費やし…何も起きなかった!
動画サイトでの輝ける栄光は、突如巻き込まれたステージでは役立たず、ぼっちの未来は暗い…。
でも運命との出会いは、輝く明日を連れてくる!…のか?
そんな感じの奇人変人ロックで輝け! 天才・斎藤圭一郎初監督作品、堂々の船出である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
濃口なイカレ人格とカラフルな髪色、可愛らしい顔立ちを併せ持ったきらら人間たちが、時にハイテンションにコミカルに、時に青春の苦くて薄暗い部分をしっとりと、緩急つけて描くお話となった。
なにしろ”けいおん!”という金字塔が高くそびえ立つジャンルなので、果たしてどんなアプローチを仕掛けてくるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
気になったていたが、絵も音響もロックの中核に本気で殴り込む気合を感じさせ、クズ人間が唯一叫べる言語としての”ROCK”をどう書くか、第一話からアツめの仕上がり。
同時にコミカルで血圧高い部分の描画もいい感じで、ロックンロールにしがみつかざるを得ない真っ直ぐな歪さと、奇人が暴れ狂うピカピカな青春がよく混ざって、独自の空気を作っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
この2つは時に水と油、悪目立ちして浮かび上がっちゃうことも多いので、上手く作品の諸要素にブリッジをかけれてた
やはりこのマーシャルの書き込みを見て、ベースの初音がボーンと鳴った時の”おっ!”感が、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
いかにもきらら然とした、濃い口のイカレとケミカルな髪色備えたアニメ美少女を、地に足つかせる実在感。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第1話より引用) pic.twitter.com/DLK7QhRaFA
その足場をバンドでの演奏と、そこから生まれる音で支えていくんだという決意が、しっかりカマしてくれる場面だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
こういうファーストパンチが”第1話”にしっかりあると、見ている側としては気持ちがいい。
ロックを、音楽を扱う以上、やっぱり”そこ”を殴ってほしいからだ。
奇跡の傑作、”Sonny Boy”第8話を手掛けた斎藤監督作ということで、絵の力は大変強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
ひとりが灰色の過去を回想する冒頭、彼女が閉じ込められている自意識と怯えの檻は分厚く重たい。
それは影となって世界を支配し、第1話を通じて変遷していく。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第1話より引用) pic.twitter.com/l7QXFL31vu
灰色の世界が出会いによって色づいていく演出は、例えば”スーパーカブ”第1話、あるいは”四月は君の嘘”第1話などでも用いられる、定番演出だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
しかしドラスティックな絵作り(普通ぼっちの公園、こんなに影で塗らないッ!)で魅せるのは、つくづく作家のセンスだと思う。https://t.co/D0oHGQeLwF
小熊はカブと出逢ことで世界に色を付けたが、ひとりはギターと出会うだけでは世界が広がらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
ソロで巧いことは強い。
しかしネット上では喝采願望を満たされた英雄であっても、他人の顔を見て弾く生のステージでは、蓄積された実力は上手く発揮できなかった。
ひとりは孤独な影の中に安住しているわけではなく、そこから抜け出したくて光を見つけられない、どうしょうもない自分を抱えつつ変えたい、かなり厄介な人間だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
他人が隣りにいること。
バンドであること。
それを夢見、キョロキョロ届かないサインを出して実らず、苦笑いで青春を諦める。
そんな影の中に閉じ込められてた少女を、光に近い場所に連れて行くのが恐怖のグイグイ女、虹夏ちゃんである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
一見人のいい常識担当に見えて、『ギター背負ってる』ってだけで、一気にライブハウスまで引っ張るエンジンの強さは、結構なキチだと語ってくれてる。きらららしい…。
彼女に手を引かれることで、ひとりは光に近い場所に進んでいけるが、しかしそこは半地下の暗がりでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
孤独な暗さと、眩い充足が隣り合い、混ざり合わない場所。
そこに踏み込むことでしか輝きは得れないが、影の檻からは簡単に抜け出せないと、ライブハウスの入り口が語る。
”日常もの”で落ち着くにはあまりに極端なパースが頻発し、画面を激しく揺らしてくるのも、また独特で面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
何かが既に歪んでて、ロックにしがみつくことでしかそのディストートを他人と共鳴させられない、青春障害者達の世界。
それがバロックな画角の選択に既に滲んでいて、なかなか期待させる。
凄腕ながらコミュ障が過ぎて、なりたい自分に全然届かないひとりが、これから歩く道。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
それはあんまマッタリしてなくて、落ち着いた”癒やし”は蹴り飛ばし、ゴロゴロ転がりながら進んでいける傾斜が、しっかりついている。
そんな風に、画面が教えてくれるような第1話である。
同時にコミカルな可愛さ演出も良く冴えてて、冷静に考えると相当ネジ飛んでるヤバ人間を、マスコット領域にギリギリ留めてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
ひとりは内にこもる人格の引力が、陰キャのブラックホールを生み出すゲキヤバ人間であるけど。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第1話より引用) pic.twitter.com/JzwywOmG3z
テンポ良く繰り出される百面相は楽しく可愛らしく、結構色んな感情を持った、図太い性格を教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
他人と世界に対する注文が多いくせに、傷つきやすくてすぐ内にこもるクソ面倒くささが、ギリギリ可愛げの範囲でとどまってるのは、大変いい感じ。
一人ぼっちで鍛え上げた腕前が、甘っちょいキラキラ志願を満たしてくれない現状を、ひとりも肯定してるわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
しかし人生望みのままには転がってくれなくて、己のままならなさ、出逢ってしまった奇人とぶつかり合いながら、ゴロゴロと岩のように転がっていく。
ドラム担当のブレーキ壊れたエンジンと、ベース担当の口から真実しか出てこないダウナーちゃんも、ひとりに劣らず相当な奇人で、なかなかいい感じのグルーブがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
ド下手になってしまった演奏を、笑って受け止める度量の広さ(あるいは怪物的鈍感さ)の奥に、どんな個別の歪みを隠しているのか。
ここら辺、次回以降掘り下げてくれると楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
プラスティックで出来た癒やしのお人形さんが、”優しい世界”で穏やかにお話紡いでくれる話も嫌いじゃないが、アクの強い奇人がそれでも譲れない何かを抱えて、大暴れしてる様子を見てると『お、きらら』って感じすんだよな、個人的に。
その歪みを叩きつける先に”ロック”を選んだのも、その音楽的特色、文化的背景を思えばかなりしっくり来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
素材と表現とテーマのかみ合わせが相当いい感じだと思えるスタートで、個人的な期待は高い。
いかにもプラスティックな萌えキメラで笑いを造りつつ、その奥に宿る人間の体温も感じる。
初ステージはキラキラ妄想の通りには終わらず、輝きの予感は闇に塗りつぶされていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
しかし”バンド”になったこと、”ライブ”をやったことは、三年の停滞を打ち破って、ぼっちを光に近づける。
明暗は入り混じり、未来は定かでなく、胸は確かに鳴っている
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第1話より引用) pic.twitter.com/p3UtMS9Vn1
マンゴー印のダンボールで自意識を覆わなければ、ステージに立てない惨めさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
それを噛み締めながらも、強引でも誘ってくれたこと、自分を光に近い場所に連れ出してくれたことに、ひとりはちゃんと感謝する。
出会えて生まれた凸凹の音楽を、これからも奏でていく決意をする。
彼女が他人とのふれあいに、そこで生まれる痛みと幸せに少し慣れて、ぼっちなWebで鳴らすようなテクを披露できた時、また世界は動いていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
虹夏ちゃんが知らず見抜いている、三年間の孤独で確かな努力。
それを認めてもらい、届けたいという熱が、クソヤバ影女に確かに燃えている。
その灯火だけがひとりを照らすのであり、待ち望んでいる光は外側からではなく、内側からやってくるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
しかしそのきっかけは、奇妙でイカれた出会いにこそ宿っていた。
公園を埋め尽くすほど濃い陰の中に、ズカズカ踏み込んでくれる誰かがいたから、運命が動き出した。
そんな奇跡の価値を、ひとりがつっかえつっかえどもりながら、自分だけの言葉で強く叫んでいたのが、僕は凄く良いなと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
伴奏がなくとも、それは既にロックンロールなのだ。
自分がいて、仲間がいて、世界というステージがあるから鳴り響く音楽を、ひとりは既に見つけている。
それが妄想するような輝きに収まるかは、まだまだ解らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
しかし確かに、モノトーンの世界には色が付き、自分の顔が照らされる輝きの中に一瞬、少女はある。
色んなキラキラの欠片が瞬く路上を、危うくフラフラ迷いながら、物語は進む。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第1話より引用) pic.twitter.com/uuLupD1dxO
その色合いが丁寧に切り取られていて、とても良いスタートでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
萌え文化の爛熟が生み出した怪生物的面白さをぶん回しつつも、主人公がロックとバンドに求めるもの、それを手に入れるための道のりが繊細に描かれる瞬間もちゃんとあって、メリハリのある第1話だと感じます。
ぼっちの抱え込んでいるものって、結構普遍的で重たい闇なんだけども、そのまま出すと食いにくいネタをヤバ人間コメディで上手くコーティングして、可愛さのスパイスを効かせて、食いやすい形に整えてくれてるのは大変良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
ギターヒーロ真の実力が顕になった時、バンドメンバーがどう反応するか。
ドラマの炸裂点として既に用意されてる”そこ”は、結構シャレにならない重たさと、強引に洒落にしていくタフな笑いを、両方兼ね備えてくれるんじゃないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
そういう期待を僕は既にしているし、秘められた才能への驚愕と嫉妬、そこから感情の摩擦熱を生き生き切り取ってくれる筆は、既に冴えてる。
引きこもりが狂った情熱で一つのことに打ち込み、路上に飛び出して仲間とのぶつかり合いの果て、己を見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
きらら連載版”ホーリーランド”とも言えるセッティングを、空回りさせない良い手触りだった。
ポップで奇形的なジャンル的現在地に、センスと繊細さを足して良い着地点見つけてる印象。
というわけで、期待以上のロックンロールしてくれてて大満足です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月9日
この腐れダメ人間共がどう”バンド”になり、ぼっちはギターを通じて吠え方を学ぶのか。
ドタバタ珍道中に、人間共通の赤い血がちゃんと混ざってくれそうで、次回大変楽しみです。
こりゃあ、いいアニメだ。