イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン:第17話『燃えよ龍の夢(ドラゴンズ・ドリーム)』感想

 過酷極まる”ファイト・クラブ”は、異能せめぎ合う超常バトルの序章に過ぎなかった!
 訳のわからなさと謎の勢いが加速する、ストーンオーシャン第17話である。
 新たな刺客ケンゾー、合流を果たしたF・F&アナスイを加えて、ノンストップでお送りする”DIOの骨”争奪戦。
 全開徐倫が挑んだ肉弾戦のわかり易さに比べ、”方角”で殺しに来る暗殺風水はいかにもスタンド戦らしい複雑さで、そらーアナスイくんも解説マシーンになるわな……という感じ。
 今回のバトル、『陸で溺れてる死体』っていういかにもスタンド被害者っぽいのはケンゾーが極めたカンフーの産物でしかない。
 じゃあ暗殺風水がケンゾーの能力かっていうと、それ自体は秘された世界の理として個別に存在してて、”ドラゴンズ・ドリーム”はそれに従って最適な方角を教えるだけ……という、かなりこんがらがった戦いである。
 まぁ直接肉体ダメージで殺しにくるあたり、まだ分かり易い部類ではあるんだが……。

 

 

画像は”ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン”第17話から引用

 出会い頭に尿療法とかホザイてくる、ハッタリ満載の超絶奇人が相手だけに、今回はホラーな演出が良く冴えた。
 麦人&チョーの贅沢ベテランコンビの芝居がいい具合にコクを出して、底の見えない強敵の存在感、理解を越えたルールで殺しに来る不気味さが色濃く出ていたと思う。
 それに立ち向かうF・Fの奮戦を、スパッと断ち切る建材ブーメランの赤い衝撃……。
 『いくらなんでもそうはならんやろ……暗殺風水恐るべし!』という経緯も含め、脳みそスパンなショック画像で次回に続く! であった。
 アニJOJO色々良い所あるけど、人智を超えたホラーな場面での色彩や見せ方、テンポが独特かつ的確で、しっかりおぞましくハラハラ出来る工夫をしてくれてるのは、大変良いと思っている。

 

 

画像は”ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン”第17話から引用

 前回の激戦で動けなくなった徐倫は、ワールドワイドファック仕草(モザイク無し!)で強くをアピールしつつ、解説席に引っ込む。
 急に出てきて寝言垂れ流す、変な服着たイケメンに対してこの表情……やっぱかわいいな徐倫
 いや実際、なんでアナスイがあんな異常テンションなのか見てる側もさっぱり解んないし、キョトン&スルーは正しい反応だと思う。アイツオカシイわやっぱ……。

 そのアナスイはF・Fが苦戦してる脇で延々解説垂れ流しにしてて、登場以来の『なんだコイツ……』感は全く衰えない。
 人間解体してムショにブチ込まれてる異常者なんだから、”仲間”を助ける義理は感じないだろうし、そもそも動いてる理由は徐倫に惚れたから、だしな。
 この段階のアナスイは、冷徹なリアリストであり観察者でしかない。
 不思議な運命によって同じ戦いに身を投じる事になっても、花嫁候補にすら受け止められていない気持ちを暴走させるだけで、血を流して誰かを助けたり、信じたりということは出来ない。

 思えば今、徐倫のために頭頂ぶっ飛ばされてるF・Fも神父に生み出されたプランクトン兵器でしかなかったわけで、しかし徐倫エルメェスとの交流と共闘を経て、誰よりも人間らしい輝きを放っている。
 ダチのために無茶をして、窮地に駆けつけ血を流す。
 シンプルでオーソドックスながら、一番真っ直ぐで強い人の証を、当たり前のようにF・Fは激戦の中にかざしている。

 アナスイもまた、この戦いの中で怜悧な観察眼以上のものを得て、運命の渦に身を投げる当事者になっていくのだろうか?
 暗殺風水を操る魔人とのバトル、その行く末も気になるけど、謎の求婚者から『なんだコイツ……』感が消えていく様子をアニメがどう書くかも、また気になっている。
 ジョジョは人間が何かに目覚め、変わっていくダイナミズムを描くのが上手いので、その大波がアナスイを変えていく様子も楽しみである。
 ここが上手いから、妄念にとらわれて己を変えれず、自分や世界を身勝手に蹂躙する邪悪さも際立つんだよなー。
 背中合わせの光と影を、時折入り混ぜながら描くのが上手いというか……。

 そういう意味じゃ長年収監されてやったのが、人殺しの邪術を極みまで押し上げる事だったケンゾーも、どうにも動かせない邪悪なわけで。
 妙にフランクで親しみやすい、死の風水の権限。
 ”龍の夢(ドラゴンズ・ドリーム)”は誰に微笑むのか……次回も楽しみです。