イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

時光代理人-LINK CLICK- II:第1話『墜落』感想ツイートまとめ

 時光代理人 -LINK CLICK-Ⅱ 第1話を見る。

 衝撃の異能力人情サスペンスが帰ってきた!
 あまりにインパクトのあるヒキで終わった第1シーズンから、直接の続きでさてはてどうなる、ハラハラしっぱなしの二期第一話で大変良かった。
 スタイリッシュな映像と音楽、冴えの中に温もりと痛みを感じる語り口、見事にこちらを翻弄するサスペンスの作り方と、”時光”で味わいたかった栄養素が全部しっかり押し寄せてきて、前作のファンとしては大変ありがたい。
 トキだけでなく視聴者も騙しきる、情報戦の描き方の上手さにまんまと乗っけられて、全く同じタイミングで肩を下ろしてしまった…。
 え、刑事さん……?

 

 話としてはダイレクトに一期の続きであり、極悪人格交換殺人鬼が主役チームに長い手を伸ばしてきて、体も心も関係性もズタズタに引き裂かれ、どう反撃したものか…という展開。
 敵さんの傀儡でしかなかった青年が証拠隠滅のために自殺させられ、スーパーセクシー弁護士がそれを追って事件に首を突っ込んできそうな状況でもある。
 二期からの新キャラである銭弁護士、登場するなり半裸で超絶アピールブッこんできて、既に出来上がった男男関係に殴り込むためには何が必要なのか、良く理解っている動きで良かった。
 息子の死より携帯重視する、クライアントのヤバっぷりとかも、今後話が転がる中で色々掘り下げられるのだろう。楽しみ。

 異能力バディが因果改変能力を活かして、現代中国の諸相に切り込んでいく一期のトーンとは、結構毛並みが変わりそうでもある。
 僕は一期の一話完結、時間を巻き戻しても書き換わらない切ない運命と、それでもそこに何かを見出す人間の営みが凄く好きだったので、異能力を駆使しての知略戦がメインになっても、そういう味がどっかで顔出してくれると嬉しい。
 とはいえ、相棒が死んだと思いこんで泣きながら留置所飯をかっ込む時、一匙一匙がアイツを思い起こさせる思い出ボムの演出力とか、人間の機微を描く筆の鋭さは健在。
 どー考えても死んでる熱量の演出だったからな…綺麗にノセられちまった。
 容疑者として自由を奪われている現実を、胸からあふれかえる切なさが上書きして、ヒカルの思いが世界を満たしていく場面にスムーズに心が乗っかる、真っ直ぐな演出の強さ。
 複数の異能が複雑に絡み合い、血なまぐさい暴力が縦横無尽に暴れる展開の中でも、あるいはだからこそ、見ている側の感情を引き込む物語の腕力がバキバキに強いのは、大変に良い。

 一期からの思い入れもあるが、やっぱスタイリッシュな表現をただ描くで終わらず、その鮮烈さをある種泥っぽい友情や悲しみに上手く繋げて、物語へ体重を預ける足場として有効活用している所が好きだ。
 軽やかに最新鋭を飛びつつ、ベタにやるべきポイントは逃さない感じ。

 

 それにしたって話がヤバい方向に転がるにつれ、番外編だったはずの功夫修行編で身につけたステゴロの冴えがドンドン重要度を増し、本格カンフーアクションとして作画が冴えに冴えていくの、面白くてしょうがねぇ。
 ナイフを巡ってのせめぎ合いは、中国武術だからこその関節の制し方がめちゃくちゃ良い感じにアニメになってて、格闘表現としてスゲー良かった。
 人情とかサスペンスとか、アクションとか異能力とか、お話が触る色んな要素を全部手抜かりなく、良い感じの鋭さで的確に使ってくれている充実感が、二期でも元気なのは素晴らしい。
 どんな要素を扱っても上手くやってくれるので、ネタの混濁が少なくスッキリ見れるのは流石。

 ここまでトキとヒカリが常人の定めを越えて何かをなしうる、卓越した力だったはずの因果改変能力が、自分たちが犠牲者(容疑を押し付けられる側含む)になってみると一般的な正義に説明が効かない、ある種の枷になってきているのも面白い。
 シャオ刑事という協力者が身内にいるのでなんとかなっているが、その庇護を超える勢いで殺人鬼の長い手が伸びてきているのは、急に家族の話しだしてデケー死亡フラグをおったて、その通りに衝撃落下死キメたチェン刑事の有り様で良く分かった。
 ヒカルで一回安心させた上で、一気にこの展開に持っていく押し引きの上手さ…制作者の手のひらでブンブン振り回されている快楽を、今回も与えてくれそう。

 

 敵の手が長く異能が凶悪なほど、それを打ち破る爽快感は強い。
 そういう物語工学は理解しつつ、細かく人間が生きてる手触りを積み上げてくれる作風が、犠牲の苦しさ、血の赤さを見ている側に無視させない。
 このお話が沢山の死と不条理が描かれ、見ていて苦しい作品なのは、俺は凄く良いことだなと思う。
 因果を超える異能を持っていても、主役が”人間”であり続けることの意味が、その痛みには反射していると感じるから。

 ここら辺、異能で人間社会のルール全部ぶっ飛ばして絶頂ぶっこいてる、連続殺人鬼と主役を分ける一線でもあろう。
 何でも出来るからこそ、してはいけないことがある。

 しかし実際、因果を書き換えなければ乗り越えられない悲劇が起こってしまったのなら、愛すべき主役が異能の怪物に落ちる道をためらう理由がないことも、ヒカルの擬死を巡るサスペンスで示された。
 人でありながら、人を超えた怪物の悪意を乗り越え生き残り、為すべきことを為すためにはどうしたらいいのか。
 一期でヒューマンドラマをキャンバスに描かれた主題が、新たな角度から削り出さそうな予感が、落下の衝撃と共に良く伝わってきた。

 

 大変良かったです。
 OPバキバキにキマり過ぎてて、『やった時光だッ!』って心から思えたのも最高でした。
 そういう冴えを武器に、どんな地平を切り開いていくか。
 次回も楽しみ!