イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

忘却バッテリー:第2話『一緒にやる?』感想ツイートまとめ

 愛好会しかないクソ公立に、野球を忘れられない男たちが集う!

 忘却バッテリー 第2話を見る。
 梶くんとマモの長尺べしゃり力に下支えされ、ギャグに振ったりスポ根したり、横幅広い作風にクセ強新キャラ達がINNッ!
 ブツクサ文句たれつつ、元智将がキャッチャーとして再起動しそうな気配もあり、小手指野球部が動き始める期待感が大きな音を立てて動き出す回だった。

 自分ペースで好き勝手絶頂語り倒す圭と、ぶっ倒した相手に興味を示さない葉流火。
 忘却バッテリーを主役に起きつつも、その過去や内面はなかなか見えてこない構造の中で、人間に興味が強い山田くんが周囲を良く見て、状況を言語化していく。

 数多の野球少年の心をぶっ壊した天才が、何故記憶を失い野球を諦めかけていたのか。
 ある種の青春殺人事件が作品を牽引するミステリとして隠蔽されている構図の中で、凡庸な探偵助手の役割は大きい。
 容疑者である圭と葉流火が、自分のこと最初からベラベラ喋っちゃうと話が壊れるし、タイプは違えど両方どっかがぶっ壊れているバッテリーの、歪な個性も薄れるからな…。

 なので山田くんは極めていい人であり、色んなことを観察して読み取る力が高い、善良青春探偵という役割も背負う。
 自分を語らぬ不器用野郎どもの理解者であり、作品が目指す方向を語る代弁者。
 その仕事ぶりを思うと、梶くんはドンピシャだったなー。
 山田くんが『喋る役』を担当することで、彼の透明度高い人格に、主役が発するクドい苦みが浄化されて、ギリギリ飲める味わいになっているのも面白い。
 ぶっちゃけ、山田くんのツッコミと解説がないと相当、圭と葉流火は受け止めにくいキャラだと思うよ…。

 

 しかし理解り手としての力が高い山田くんが、浮かれたボケッ面、冷たい鉄面皮の奥にあるものをモノローグの刃で切開してくれることで、秘めた才能や過去の遺産が解りやすくなってくる。
 それは一回脳みそリセットされた圭が、野球をもう一度面白いと思えるまでの足取りと重なって、作品が主題と選んだものがどう素晴らしいのか、噛み締めさせる手助けもする。

 ウザいカユいと文句たれつつ、シニア界に燦然と輝く星だった要圭の体には”野球”が刻み込まれていて、捨てようにも捨てられない。
 それは目標を見失った元エースへの祝福として眩しく輝き…逃げようとしても逃げられない呪いとしてのドス黒さを、今後顕にもしていくだろう。

 忘れているはずなのに消え去らず、逃げようとしても追いすがる。
 タイトルにある”忘却”の二面性が、バカと仏頂面に正反対に思える主役両方に…あるいは彼らに惹かれる野球少年たち全員に、長い影を伸ばすお話でもあるのだ。
 しかしまぁ、そういう現代野球残酷物語が牙を向くのはもう少し先だ。
 俺はそここそが好きなので、アニメでどう描くか楽しみ。

 

 さておき、忘れたかったはずの快音に脳髄揺さぶられ、心をブチ折った張本人と対峙してもう一度、バットを握ってしまう野球バカ二人が、今回は描かれる。
 オラついたパワーヒッターと、クールな皮肉屋オールラウンダー。
 これまた対象的な二遊間コンビであるが、エグみ濃い主役たちに負けないキャラの強さで、大変いい登場をした。
 葉流火の挑発…と自覚していない負け犬煽りを受けて、即座に突っ走っていく藤堂くんと、そんな彼の奮戦に静かに燃えて丁寧に服を畳む千早くんの在り方の違いが、色んな連中が集まってチームになっていくワクワク感を、モリモリ盛り上げてくれる。
 マジとボケがシームレスに混ざる、独自の雰囲気も良い。

 ガッツリ力んで青春ド真ん中、いかにも”甲子園”な野球物語へのアンチテーゼとしての顔も持つこのお話、出会ったばかりでバチバチ反目しているはずなのに、どこか心地よい空気で既に繋がってしまっている少年たちの顔は、なかなかに頼もしい。
 Cパートで描かれた、設備も才能も期待も備わった強豪校の締まった練習風景とは、全く違う制服まんまな放課後。
 消しても消えない熱を宿しつつ、どこかに”遊び”を残して野球を楽しめる気楽さと、そうじゃなきゃもう野球が出来なくなってしまった傷追い人たちの再起。
 手放し諦めようとしていたものが、愉しさの原点に戻って新たに動き出す心地よさ。

 そういうモンが、ややスベリ気味なのを一切気にせず過剰なべシャリで押し切る要圭オンステージのなか、元気に弾む第2話であった。
 あのヤリ過ぎ感がある喋り倒しも、黙ってしまえば白紙の沈黙がシリアスに迫ってきて耐えきれず、ある種の防御策としてやってる部分があると思うと、『圭ちゃん、生き直し頑張ろうね…』という気持ちになる。

 あとまー、どんな人間とも笑いを軸に楽しい関係作ろうとする人の善さと、自分がぶっ壊れ野球マシーンにしちゃった相棒が摩擦少なく生きられるように、過剰な潤滑油撒き散らす生き方選んだ結果か。
 極めてバカで空気読めないが、そういう優しさと賢さが根っこにある所、俺は好きだよ要圭。

 

 ツンツン反抗的な態度を取りつつ、いざボールとバットがあったら球遊びしちまうあたり、新キャラ共にもそういう純粋さがしっかりあって。
 『おバカなピュアボーイ達が、残酷な運命に打ち砕かれてなお消えてはくれない夢のカケラを握りしめて、チームになって野球しようとする話』つう、お話の芯がよく見える回だったと思う。
 一打席勝負の作画と音響にしっかり気合が入って、『コイツラがちゃんと試合したら、何が起こるんだ…』つう期待感が濃いのもいい。

 これらの味が濃い食材を、梶くんボイスの山田くんが丁寧にアク取りし、食べやすい味にしてお送りする、騒々しくも純粋な負け犬たちのワンスアゲイン。
 次回も楽しみ!