イマワノキワ

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時光代理人-LINK CLICK- II:第2話『夜襲』感想ツイートまとめ

時光代理人-LINK CLICK- II 第2話を見る。

 先週衝撃のヒキでワクワク二機を待ってた視聴者の顔面ぶっ飛ばした時光が、決定的瞬間に至るまでのプロセスを丁寧に語り直すことで、事件のダメージを更に拡大する回。
 人情モノからサスペンスへと舵を切った作風を重たく生かしつつ、取り返しのつかない惨劇の奥に何があったのか、重いブロウを叩きつけてきた。
 激務の中、当たり前の幸せを確かに掴み取っていた平凡で善良な人こそが死んでいく、殺伐とした狂気と悪意の渦。
 これからトキとヒカリが向き合っていくものの手触りを、良く教える第2話だった。
 いやー…ハラハラワクワクしつつも、やっぱ辛ぇわ。

 

 話の大枠としては人格交換能力者の内実や周囲を掘り下げつつ、長く伸びてきた陰謀の手とバチバチやり合う感じ。
 敵もまた写真を媒介に能力を発動すると解ったことで、異能行使にルールを定め、現実を身勝手に歪めないよう生きてきた主役コンビの、歪んだ鏡としての危うさ、怖さがより鮮明になってきた。
 力を使って都合よく、現実を書き換えることにためらいがなかった場合、トキたち異能者がどれだけ凶悪な存在になってしまうか、無貌の殺戮者が振り回す凶行は良く教えてくれる。
 話の舵取りは結構変わったが、このヤバい許せなさは一期で異能を使って、人の人たる証を写真の中から取り戻してきた、時光代理人の行いあってこそか。

 チェン刑事の私生活が新たに描かれるほどに、一期でトキ達が慎重に守ってきた小さな幸せを、凄い粗雑さで踏みにじりぶち壊す連中の恐ろしさ、おぞましさは際立つ。
 因果に触れてはいけない異能者の定めと、人間としての悲痛な情の間で引きちぎれそうになっていた、時空改変能力者として生きるにはあまりにも、善良すぎる青年。
 彼らが崖っぷちギリギリで留まり、その小さな手のひらで守ってきたものを、ためらいなしに叩き壊せる連中は、情け容赦がなく悪知恵が働き、数が多くて凶悪だ。

 現状、突破口が全然見えない息苦しさを今後どう抜け出し、あるいはさらに追い詰められていくのか。
 サスペンスに必要な閉塞感と緊張感。
 そういうモノがひたひた、バキバキに仕上がった画面から立ち上ってくるような第2話である。
 味方サイドの対応を上回るスピードと苛烈さで敵の手が伸びてくるので、気が休まる瞬間が全然ないのは、ここまでの話を見てトキ達が好きになっちゃってる視聴者としては、心地よいストレスとともに先を見させられてしまう要員にもなってて、つくづく引っ張り(Suspense)が上手いなぁと感じる。

 

 知略の限りを尽くして主役を追い込む尖兵として、先週戦慄のスーパーセクシー・デビューを果たしたチエン弁護士の描かれ方も、そういう牽引力を上手く生み出している。
 元同僚の家に労りを演じて上がり込み、致死の凶器を盗み出す手際。

 旧友を信じて疑わない妊婦が差し出した飲み物を、歓迎するような仮面をつけつつ一切口はつけず、汚れ仕事を担当する助手は下品にすすってゲップを漏らす。
 歓待と食料をどう扱うかで、チエン弁護士がどういう人間であるかを鮮烈に見せる演出で、大変良かった。
 (ここら辺一期第2話で『飯を食う人』として描かれた主役たちと面白い対比で、結構フード理論で回っているアニメと言えるかもしれない)

 何しろこちらの予断を操り捻って自在に動かすアニメなので、今見えているものの印象が次の展開で、180度意味を変えても全くおかしくないが。
 現状、チエン弁護士は異能の殺人者と手を組んで、謎を秘めた携帯を奪う圧巻に見える。
 人間が人間でいるためのルールを捻じ曲げ、尊厳を踏みつけにしながら死体を積み上げる連中が、それほどまでに欲する携帯電話には、何が秘められているのか。
 物語が追いかけるべき聖杯の値段を、暴力交えつつ上手いこと上げていく展開で、アクセルバリバリ踏み込まれていて気持ちがいい。
 敵の全容も目的も分からないが、切れ味抜群の格闘アクションが前座に過ぎない激ヤバ状況がドンドン加速していってる手触りが、凄くハラハラ出来てて良い。

 状況の深刻度が増すほど、番外編で習得した<格闘>スキルの重要性がガン上がりしていくの、あまりに独特の味で面白いな。
 『ノー功夫、ノー時光』じゃんもはや!!
 受け流しとカウンターを特徴とするトキの”柔”に対し、肘と膝を多用するムエタイスタイルの”剛”がいい対比生んでたのも良かった。
 打撃部位だけじゃなくて、トラッピングと受け流しの”感じ”が凄くムエタイっぽくて、ああいう所のクオリティで作品を下支えしてる手応え、大変このアニメっぽい。

 

 アニメを構成する全領域に手を抜かない力みは音響にも生きてて、サスペンスフルなBGMが物語の緊張感を保ってもいた。
 OP/ED含めて、音楽いいのもやっぱ好きだな…。
 今後もこの全方面に力んで流麗な作風を維持して、一瞬も油断ならぬお話を貫いて欲しい。
 窮地の主役の前に現れたのは、敵か味方か。
 次回も楽しみ!