イマワノキワ

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時光代理人-LINK CLICK- II:第4話『写真の中の彼女たち』感想ツイートまとめ

 時光代理人-LINK CLICK- II 第4話を見る。

 怒涛のカンフーアクション・サスペンスが踊り狂った二期序章も少し落ち着き、謎のフードの男から手渡された写真をきっかけに、不鮮明な真実へと異能を用いて切り込んでいく”いつもの時光”へ軽く軌道修正。
 まぁ言うたかて、何もかもが謎めいてそこかしこが不穏な、二期テイストは全然継続中なんだがな…。
 銭弁護士の悲しい過去なんかも明らかにされ、いつか必ず炸裂する運命がジリジリと渦を巻き、力をためている感じのエピソードとなった。
 ティエンしーちゃんのママが、凄くいい人だったので久々にほっこりしたけど、こっから地獄絵図も”いつもの時光”だからなぁ…。

 

 色んなネタが同時に進行しているが、まずシャオ刑事ノクチを通じてチエン弁護士がかつて法と正義を信じ、それに絶望して闇に沈んだ存在であることが解った。
 異能を用いて法で裁けぬクズをぶっ殺したり、逆に弱者を貪る悪に堕ちたりするには十分な背景だが、まだまだ各要素の繋がりが見えきらず、何かを断定するには早すぎる感じ。
 ”二人”殺された復讐で今の彼になったのなら、その行いが、”二人”取り残されてしまったチエン刑事の奥さんの悲惨さを引き寄せているのはあまりに皮肉だ。
 この人も『善人ほど理不尽な運命に翻弄され、苦しみ堕ちる』つう時光メインキャラクターの宿命を背負ってんのかなー…カルマ濃いなぁ。

そんな彼とどうやら繋がりがあるっぽい、フードの青年が何故、”敵”であるヒカルの元へ謎めいた写真を手渡し、警察に出頭したのか。
 ここら辺のからくりがさっぱり見えないまま、写真の中の過去とその外側の現在、異能と警察権力、日常と非日常が絡み合いながら同時進行していくの、まさに異能サスペンスの醍醐味であろう。
 あんま深読みせず、気持ちよく流されてビックリしたい気持ちが強いが、シャオ刑事が身内になったことで時光能力を堂々使えるようになり、条理を越えた手段で得た情報を警察機関に流せるようになったの、なかなかカタルシスがあった。
 今まで相当、息苦しい感じだったからなぁ…。

 

 時光コンビが過去に潜り、シャオ刑事が多すぎる情報をバンバン書き連ね、リンちゃんが交通整理をする。
 今までのメンバーに警官を足した新たなチームが、なんかいい感じに成し遂げてくれそうな手応えが高まっていった所で、疑惑の中心が警察署に乗り込んでくる展開で揺らすのも、時光らしい強いヒキでナイス。
 写真の裏のメッセージ、目立つピンク髪の一族と、謎めいたヒントを的確に散らしつつ、巧いこと先を読ませきらない複雑さも残していて、訳わからんけど面白いという、サスペンスの一番美味しい状態を巧いこと作ってくれている。
 いやー…マジで全然わからんな。

チエン弁護士とフードの男の繋がりが見えないと、そこに在る感情の色と熱量、そこから生まれる行動と目的も見えてこないわけで、隙あらばスーパーセクシーバッドガイ仕草をぶっこみつつ、内側を覗き込みたく成る魅力的なミステリとして、謎めいた男のキャラを上手く立ててる印象。
 ここがセクシーじゃないと、話を引っ張る牽引力が落ちてしまうからなぁ…なんなんだよあの車内指揮でのご満悦はッ!!
 情報を宙ぶらりんのまま放置することがない作品なので、分かんねーなりにそのうちなんか分かるだろうと、信頼して待てるのも大きいか。
 ここがちゃんとしてないと、ハラハラを楽しむどころじゃなくなるからな。

 

 んでそういう暗くて先が読めないサスペンス味に対比するように、写真の中の娘と母の小さな世界は暖かくて優しく、なんでこれが残酷な今に繋がるのか、これもさっぱり分からない。
 ママに手を引かれ、重たい荷物を気遣って進む田舎町の風景がめちゃくちゃ良くて、スゲー久々に”時光”食ったな、って手応えがあった。
 やっぱこの、山盛りのノスタルジーとペーソスから極まったスタイリッシュで泥を抜いて、爽やかに食わせてくれるのこのアニメ独特の味過ぎて、どんだけ事態が洒落にならない感じで転がっていっても、大事にして欲しいな。
 ティエンシーのろう者設定が、程よい縛りと守られるべきヒロイン感を兼ね備えるナイス描写だ。

 殺伐とした”今”から逃げ込むように、視聴者はピンク髪母娘に体重を預けているけども、何しろハラハラロクでもない場所から預けられたメッセージだし、なによりこのアニメ”時光”だしで、『あんま油断しすぎても、来週俺死ぬな…』という感覚はある。
 つーかそういう要人を怠ると、マージで持ってかれるアニメだからさぁ…だから楽しいし、毎週ハラハラ見てんだけども。

 世界の片隅で幸せに生きている親子が、このまま何事もなく穏やかに過ごして欲しいけども、それは過ぎ去って取り戻せない過去、血みどろの今に繋がるヒントとして、”敵”から手渡されたメッセージ。
 果たして12時間後たどり着く真実は、どんな残酷を孕むのか。
 優しい息抜きすらも作者達の罠ではないかと、警戒レベルを思わず上げてしまう、作品との幸せな共犯関係を楽しみつつ、次回を待つ。
 事件と謀略の全体像がサーッパリ見えないまんま、猛烈な牽引力で先が気になり、悲惨な現状を諦めずトキ達の奮闘を見守りたくなってるの、やっぱ絶妙なバランス感覚と物語のパワーだよなぁ…。