時光代理人-LINK CLICK- II 第8話を見る。
救いの星は敵に囚われ、希望は全て潰えたかに見えた。
しかし刻まれた運命の結節点が、全てを知る天眼無しのダイブを求める。
まさかまさかの時光合体、死中に活を求める時光代理人二期、第8話である。
やっぱ双子は入れ替えトリックを使っており、お兄ちゃんとチエン弁護士が結託してトキ(の過去改変能力)を求めていた感じ。
スーッとヒカルが攫われていったのも、やっぱ人格掌握の発動条件が『身体の接触』だからだろう。
ということは、遠隔での人格交換殺人鬼はやはり別にいる…のか?
ティエンシーちゃんの様子だと、彼女じゃなさそうだが…
チエン弁護士が攫ってきたヒカルにNO出してたのは、『過去のやり直し』が彼の目的であり、警察組織敵に回しかねない大立ち回りも、その切望故に生まれた感じか。
奥さんを巡る地獄は奈落に落ちるのに十分な重たさだし、裁かれざる悪に人生メチャクチャにされたって意味では、李兄妹と共通する部分も多そうだ。
数多の犠牲を出してきた悪党が、力の行使を望んでいる構造が見えてくると、トキが運命改変能力者にしてはあまりにまともで優しい男だった一期の描写が、逆向きに刺さってくる。
何もかも変えうる大きな力を持つが、求めて良いのはほんの小さな奇跡だけ。
そういう縛りの元、不条理に飛び込み闘ってきた青年。
彼とその相棒があえて距離を取ってきた、人間の領分を越えた悲願に焼かれている連中を見ていると、異能の存在がどんだけ人間狂わすのか、トキがどうやってその狂気から守られてきたかが、より鮮明に見えてくる。
ヒカルという命綱が写真の外の現在と繋がっていて、何をすべきか/すべきでないかを強く指し示してくれていたからこそ、トキは己の強大な力を正しく使えてきた。
耐えられないほどに苦しいことも、許せぬほどの理不尽も確かにあったが、泣きじゃくりつつ立ち向かい、微かな希望を写真の中から拾い上げてきた。
チエン弁護士の凶行を見ていると、そういうタガはやっぱり大事なのだ。
緊迫感を増す状況の中で、リンちゃんがティエンシーちゃん(真)相手に、己とトキの過去を優しく語ってくれたのは救いだった。
死人がどんどん増える過酷な展開に、スッと差し込まれる穏やかな笑いと幸せな過去。
それがどす黒い呪いの根源にもなれば、人と人を繋ぎもする不思議な両面性に、写真を通じてダイレクトに潜れる能力設定は、改めて白眉だ。
そしてリンちゃんがガッツリ問題解決の当事者になって、色んな場所で頼れる姿を見せてくれてるのは、二期の良いところだなーと思う。
やや不安定な部分もある弟分に比べて、人間力が分厚く冷静だ。
あと師匠直伝の暴力が太い。ノー功夫、ノー時光。
ワン刑事に手当が必要ってことは、重傷であるが死んではいないわけで、そういう意味では一安心。
…なんだが裏を描かれ部下を傷つけられ、号泣するシャオ警部の尊厳はもうボロボロよッ!
つくづく大の男を限界まで追い込み、精神ズタボロにした上でそこから這い上がる魂の輝きが、大好きなアニメである。
相当良くない状況でも諦めず、涙を拭いヒントをかき集めて突破口を開いていくデカ魂が見れたのは、大変良かった。
相手も悪知恵の権化みてーな男なので、知略戦で裏をかくのは大変だ。
話の中核に渦を巻く妄執がデカそうなんで、時光チーム一丸となって乗り越えていって欲しい。
そして相棒を信頼しきって身体と運命を預けた、ヒカルへのダイブを果たすトキ。
二人で一人の異能者ユニット、テンション上がりまくる展開ではあるのだが、ヒカルの指示がどんだけ大事だったか知ってるからこそ、命綱なしの単独行には不安も強い。
このワクワクとハラハラの同居は、正にサスペンスの醍醐味といったところで、大変にいい感じだ。
ヒカル抜きでは道踏み外しそうになったことも沢山あったからこそ、今のトキがどこまで人間を育てたか、この単独ダイブは試金石になるよなー。
相棒抜きのソロミッションってのが、相棒との信頼を一番濃く照らしてる構図も良いわなー。
色んな意味で”時光”って感じだ。
リンちゃんがクレヨンで描く思い出は、物言わぬティエンシーの心にどれだけ入り込めるか。
相棒の信頼を受け取り、命綱なしのダイブを敢行するトキは、過去を乗り越え約束された未来へとたどり着けるのか。
闇の中に微かな希望が瞬く中、物語は更に加速していく。
そろそろセカンドシーズンの終わりも見えてきたタイミングで、知りたいこと分からないことはワクワクと山盛り。
異能者サスペンスの傑作がどういう結末へたどり着くのか、次回も大変楽しみです。
しかし緩まんなぁ…マジ凄い。