BEASTARS：第5話『しっぽの汚れにも理由を見出すお年頃』感想ツイートまとめ

BEASTARSを見る。
毛生え変わり、蝶迷い出る夏…。あのとき舞台に迸らせた激情を、レゴシはどう扱ったものか悩んでいた。
同じ場所で足踏みを続けるような、確かに前に進むような。
青春の奇妙な触感の中を、尻尾を揺らしながら歩く。
蝶々のように空を求め、君を想って。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

そんな感じのBEASTARS、夏色の第二章開幕である。
陰りの中に身を潜め続けていたオオカミが、隠しきれない激情と資質を光に踊らせたことが、世界を、青年をどう変えていくのか。
その行く先はまだ見えぬながら、形のない青春が奔流のように、何かをどこかへ押し流していく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

そういうポテンシャルを感じさせる、爽やかで静かで、靭やかな開幕となりました。
全体的なカラーリングも青主体、光も強く眩しく高くなって、作品全体に”夏”が溢れている感触が気持ちいいですな。
…まぁここに、ドロドロの青春リビドーとか、肉食草食合い喰む現実の重たさとか、滲んでくわけだが。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

お話はプールサイドで黄昏れるオオカミを、親友が気楽（を装って）に来訪するところから始まる。
学園がどんなに騒ごうが、俺はレゴシの親友。ジャックのぶれない友情、レゴシ個人をしっかり見てくれる誠実が、あまりにもありがたい。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/ewb8oLbbky

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

青く広く綺麗な、夏色のプール。そこに生まれるちっぽけな陰りに、レゴシはやっぱり隠れようとする。
しかし舞台に立ち、学園の話題になった事実はもう変えられない。ビルの不誠実を、牙を剥いて殴りつけた感情は嘘ではないのだ。
白黒の写真が、下手くそな作り笑顔が、それを証明している。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レゴシは黙考すると世界や他人を影に落としてしまう気質があって、影法師のジャックはそれを上手く表している。
他人に譲る陰気なオオカミに見えて、存外内面では”自分”が凄く大きい。その巨体が作る影は、他人の表情とか思いやりとかを、時に見落とさせてしまう。
しかし青年の沈思は、鋭い洞察も生む

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

考えすぎなくらい深く考えてしまう青年が、舞台をぶち壊しにしてでも…というか、そんなことが考えに浮かばないくらいに燃え上がった怒りと反骨。
どちらがレゴシの”本質”か、という話ではない。
激情と黙考、相反するように思える性質が、深いところで同居しているのが彼、ということだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レゴシの思いは現実を飛び越えて、舞台が終わった後のもう一つの舞台に飛ぶ。
柱と廊下が作り上げる明暗。筋書きを外れた役者が叱られる舞台裏。ルイ先輩はやはり、光に近い側に身を置いて、二人の肉食獣を睨みつける。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/iK8hQyRZ41

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

のんきな光しか知らない観客が水を差すまで、ルイ先輩は二人を謹慎に処そうとしていた。
ビルに『”レゴシと違って”お前には倫理を期待してない』とこぼす辺り、『ほんとこのアカシカ、ハイイロオオカミのこと好きすぎて嫌いだな…』って感じ。
厳しい処分は、獣を抑えきれなかった後輩への失望混じりか

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

ビースターを期待されるエリートとして、肉食よりも強い草食候補として、ルイ先輩はずっと光に当たり続けている。
それは重たく苦しいことだと、先週のビルがよく告げている。スターであり続けるのも、生半可じゃあない。
舞台の外側で、ルイ先輩はずっと”役者”として訓練され続けてきたわけだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

本来なら人目の届かぬ闇で行うべき、暴走への審判。それを光に向かって開かれた場所で行った結果、ルイ先輩は二人を不問に処す。
新しい伝説として、しっかり組み上げられた舞台。偶然に揺るがされることのない、制御された演劇。
そういう嘘を貫け。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/OK4IMatbzg

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

ルイ先輩は、考えなしの後輩たちに謹慎とは別種の重荷を背負わせる。
平穏を演じること。舞台を降りても役者であること。”大人”であることを求める。
兎の血を啜って、欲動に正直であることだけが、”大人”のあり方じゃあない。
大衆に向かって顔と言葉を作りつつ、先輩の指導はづく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

そういう靭やかな嘘に、聴衆は魅了され、見上げる。演じる側と見つめる側には、高さと距離が大きく空いている。
暗闇の中でどんな本音が渦を巻いていても、光の側には綺麗な建前を見せる。その努力は、取ってつけた嘘であり、同時に美しい物語にもなりうる。
ルイは永遠に続く演技として、社会を見る

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

”アドラー”の幕が下りても、草食と肉食が本音を牙に隠しつつ共存する世界は続く。
感情や欲望を剥き出しにする自然状態を、どこかに捨て去って社会を選んだ獣たち。その成員として”大人”になっていく途中の青年たちが、かぶらなければならない笑顔の仮面。
そこに、ルイ先輩は少しの本音を込める。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

それが本音だったかは、彼のモノローグを封じた今回は解らない。
でもレゴシは、『幼くても信念があれば、俺はそれを支持したい』という”公”への嘘を、自分への本当だと思った。
そういう一方通行が絡み合って、絆が編み上げられるのかもしれない。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/vtwpERujFA

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

あまりにも複雑で、様々な嘘を隠した世界。
そう高らかに歌い上げるルイ先輩の背後に、何が隠されているかを聴衆は推測すらしない。
完全無敵のビースター候補、弱いものが強くなれる理想の体現。
その鎧が、相当に脆く傷だらけであることは既に見てきたとおりだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レゴシの黙考気質は、そういうルイ先輩の暗闇にもしっかり切り込んでいく。
弱くて強い、強くて弱い複雑な草食動物が、どういう仮面を付けているのか。それに向き合うとき、自分はどんな態度と本音を作り上げていけば良いのか。
ルイを鏡に、レゴシは自分を見つけていくのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

現実に引き戻されたレゴシは、水を求める蝶を見る。自分が身を置く陰りから顔を上げて、重たさと輝きの同居した光を見る。
『思い切り気持ちを開放して、それがイヤじゃなかった自分がイヤだ。』
思春期の感情は、とても複雑怪奇だ。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/GttOigF0Me

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

純白と混沌。
二色に分けられた翼を羽ばたかせて、蝶は飛んでいく。溢れ出した思いと同じように、どうにも枷を付けられない気持ちを見つめる親友を、ジャックは誇らしげに見つめる。
ルイにとって、自分の影を見てくれるレゴシが救いなように。レゴシをじっと見落とさない親友は、確実に救いだよなぁ…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

ルイから託された、仮面の宿題。その重さに思い悩んでいたときよりも、すこし光の側に近づいて、親友たちは歩き始める。蝶のように自由に、青い世界へ羽ばたいていく。
希望がしっかりと刻まれた、良い一章総括であり、二章スタートのプールサイドであった
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/g8eu8WAqTV

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

で終わらねぇ所が、まぁこのお話なのよ。
蝶のように軽やかに舞う、レゴシの初恋。
ハイイロオオカミの不器用な恋は、種族の壁を超え、非常に複雑な明暗と絡み合っていく。無敵の英雄が弱さを預け、甘えることが出来る唯一の存在。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/F3oYiZjDhm

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

それが光に顔を向け始めたレゴシの憧れと”＝”であるところが、なんとも厄介である。
ジャックの受け答えを聞くと、彼ほどの好人物でも『オオカミはオオカミと恋愛するもの。逸脱してイヌ科まで』って考えてる社会規範が透けて、なかなか面白い。
世間的には、ルイとハルちゃんの方が”普通”なのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

ルイ先輩の重責や痛みを見た後だと、『そら甘えたくもなろうよ…』って感じであるし、性欲と愛情に”食欲”が介入しない関係性には、ある意味”ストレート”な気楽さがある。
いや、お互いの立場と感情を考えるとネットネトの油地獄だけどさ…。一体どーなってしまうのか！（ガチンコ獣れんあい塾）

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

これを一番最初に見せられても、あんま動揺しなかったと思う。
レゴシ、ハル、ルイ。三角関係の頂点がそれぞれの弱さと脆さ、尊敬するべき強さと矛盾を兼ね備えた”人間”だとわかった上で、複雑に絡み合うから『どーすんだよ！』ってなるのだ。情報を見せるタイミングが良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

衝動のまま飛び出した光に、怯えつつ目を向ける狼。
闇の中己の弱さを、兎の柔肉に預ける赤鹿。
それぞれの青春は複雑に混ざり合い、明暗の中で踊る。
青い一報が、生まれつつある変化を静かに、確かに刻んでいた。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/jxTD6v9H21

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

そんなAパートから一ヶ月、レゴシは相変わらず日陰にいた。映えある隕石祭りの裏方、縁の下の力持ちを期待される立ち位置。
夏毛剃り剃りの男子高校生っぷりと、カップル色を増す季節の対比がいい。女っ気ないなぁキミら…そこが好き。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/hJWYcP7YKI

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

世界の端っこに追いやらられた裏方班が、妙にギクシャクするのは一ヶ月前の舞台が理由だ。
あのときむき出しにした感情と暴力は、ビルやルイ、観客以外にも届いている。
裏の事情を知っていて、日常を深い部分で共有する仲間に、生まれた波紋。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レッサーパンダがレゴシのヤバさに言及するときの薄暗さと、それを気さくな態度で散らそうとするクジャク先輩の対比がいい。
裏方のリーダーとして、不平不満を聞き遂げ、集団をそれとなく制御する成熟。ドーム先輩は大人だなぁ…。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/UVeMgPDgW5

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レゴシは自分が震源となったぎこちなさに戸惑いつつ、それを気遣う先輩の優しさも感じ取りつつ、それより強い感情に尻尾を振って猛ダッシュである。
恋。白いふわふわ兎の形をした、名前をつけられない新しいトキメキ。少しの戸惑いと、沢山の高揚を閉じ込めた麗しい感情。
しゃーないな恋なら！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

ドームの気遣い、何かと不満がたまりがちな裏方チームの社交を後ろにおいて、自分の恋に走っちゃう所が、レゴシの自分勝手な黙考主義だなぁ、と思ったりする。
巨大過ぎる自意識に閉じこもって、その影に他人を包み込んでしまう。細かい配慮を見落とす。
それは社会的な欠点であり、魅力でもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

ボーッとした無遠慮さは、煩雑な社会関係を蹴り飛ばすほどに、情熱的になれる”なにか”を持ってる裏返しだ。
人格には様々な形があって、欠陥に見えるものがかけがえのない個性、強みと長所であったりもする。
自分自身を含めた”ヒト”の複雑さに気づく時代…青春かッ！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

さて、そんなレゴシの複雑な感情を向けられる華、ふわふわ兎のハルちゃん。
しおれた命にも優しく目を向け、クソアマ共にはビッチ呼ばわりでメコメコにされる。
暗いんだか明るいんだかよく解んない青春のただ中にいる、これまた複雑な兎である。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/QwJbgdRF78

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

地べたに引きずり降ろされても、言うべきことは言い切る。ちっぽけな草食動物が張れる意地を、最大限ぶん回すタフガール…で済まない所が、彼女の複雑さだ。
『背後にいる存在に気づかない』って要素が、肌を合わせているルイ先輩と共通な所が、なんか切なくて面白い。結構似たモン同士なのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

ルイ先輩は陰りを見ようともしない大衆を背負ったけども、ハルちゃんは陰気な狼の影を背負う。
自分のタンカがクソアマ共を黙らせたと思っていたけど、それは虎の威を借る狐ならぬ、狼の影を背負った兎だったわけだ。望んでも、牙は生えるもんじゃないね
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/yZPLtAbNhU

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レゴシのシルエットの中で、客観的な現実は勝手に進行する。当惑を表に出せないまま、本当に言いたいことを喉の奥で噛み殺して、青春は自動進行していく。
結構多様される表現だが、レゴシの内省的性格、ハルちゃんの存在のデカさが可視化されて、結構好きな演出だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

自動進行の青春にどうにか噛み付いて、レゴシは腰をかがめて花を差し出す。
それを憐れみと取ったハルちゃんは、眉をしかめて肩を怒らせる。
小動物の意地を遮る、毛むくじゃらの腕。ツッパっても、狼は怖い。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/KhKHznQI8o

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

大人になりかけの青年が持つ、なけなしのプライド。本音を押し殺して嘘で塞ぐ生き方から、漏れるフィジカルな恐怖。
ここもルイ先輩との共通点で、この作品世界で”草食”が否応なく刻まれた、絶対的な格差なのかもしれない。
所詮、食うものと食われるもの。意識するとせざると、共存は格差を顕にする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レゴシがそういう差異に意識を避けないまま、自分のことでテンパってる様子…無遠慮にむき出しにされる牙にハルちゃんが怯える様子が、会食の中で活写される。
表向き社交的な、学園によくある風景。微笑ましい青春の一コマ。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/GGDn0uHZOI

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レゴシが恋と自分をどう取り扱っていいかテンパる中、ハルちゃんは『包容力のある先輩』という仮面を超えて跳ね上がる脚を、テーブルの下で抑え込むのに必死だ。
牙をむき出しに、バクっと食べる。他人と食事を共にする時必要な配慮が、まだ十分鍛えられていない子供の仕草。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

僕ら人間（あるいは肉食同士、草食同士、男同士女同士）なら『マナーがなってないなぁ…』ですむ所が、肉食／草食という圧倒的な断絶を挟んだ二人には、本能を突き刺してくる。
食う／食われるという、”それ”を廃絶することで社会が成立している、根源的な関係性。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

自分という影に向き合うのに必死なレゴシは、その存在に気づけてすらいない。だから配慮もできない。
しかし少し大人（性成熟含む）なハルちゃんは、後輩狼の人の良さを理解しつつ、自分の体（と社会）に刻まれた決定的な事実を、衝動的かつ冷静に見据える。
この断絶が、面白い会食シーンである。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

レゴシが優れた腕力と爪を持っているのは、ビルとの殴り合いで証明済みだ。ルイ先輩も、持ち前の武器を隠そうとする仕草に苛立ち、惹かれていた。
肉食…生来の優越種であることに、レゴシは十分向き合っていない。だからハルちゃんの怯えにも気づかず、恋にルンルンと当惑する。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

礼儀正しく離れていくハルちゃんの恋に、レゴシの世界は歪む。自分の恋心ばかり見ているレゴシに対し、ハルちゃんは忠告する本能と、気のいい狼への対応に悩んでいる。
このズレは年齢、性差、捕食が複雑に絡み合った、二人の関係を上手く圧縮していた。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/PD4HvKJZmD

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

色んなものがズレてる二人が、夜闇を歩いていく。街頭のスポットライトの中で、身体を縮め尻尾を汚しながら、ただお互いの瞳を見る。
性別、年齢、人格に捕食。色んな差がある。
でも、信念のように幼く、力強く脈を打つ恋は嘘じゃない。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/YO52XFNtVt

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

あれだけ二人を引き離していた差異が、眼と眼を通じ合わせるとふわりと曖昧になるのが、ロマンティックでいい。
確かに、色んな差異がそこにある。でもそれを乗り越えていく胸の高鳴りが、どうしようもない本当として胸に宿るなら。
それは、あまり大したことではないのではないか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

そう信じたくなるような本質主義が、二人の距離をグッと縮めていく。
周囲の状況をあまり見ないレゴシが、自分の恋にまっしぐらなのはよく判るが、そんな純情を間近に受けて、草食動物としての自己保全とか、孤高のビッチとしての立ち回りとか、ハルちゃんの”大人”な賢さが抜けてくのが、なんか良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

性といじめにすっかり擦れっ枯らしなハルちゃんだけども、当然まだまだ子供であり、被捕食生物としての弱さを思い知らされることも多々あり。
ルイ先輩が白い柔肉に自分の弱さを預けるように、ハルちゃんもツッパらない自分を、純情な狼に預ける気持ちになったのかも知れない。それは多分良いことだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

まぁそんな、尻尾ブンブンの甘い夢を思い切り殴りつけてくる厳しさも、この話にはあるわけだが。
それでも、恋という信念を胸に、陰気な狼男は青春を走る。三日月と街頭が混ざり合う明暗の中で、喜びに尻尾を汚しながら。
©板垣巴留（秋田書店）／BEASTARS製作委員会 pic.twitter.com/wskcYOZHta

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

そういうところで、今回は幕である。
ビルを殴りつけて、堂々光に向かって自分を叫ぶかと思いきや、染み付いた陰気なる内省主義はなかなか消えない。
自分の考えに沈みがちなレゴシが、ちょっとずつ広い世界、その光で果たすべき責務と恋に目を向ける様子が、夏の爽やかさの中描かれるエピソードでした

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

僕はジャックがいっとう好きなので、今回はアニメでしっかり描かれて最高に良かったです。
ガキの頃からずっと一緒で、お互い支え合ってきた親友。レゴシの明るい表情も暗い顔も、変わらない本性も変わっていく成長も、全部まるごと大好きでいてくれるジャック氏…マジLOVEだよ…2000％くらい…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

そんなジャックが知らない恋模様も、ズズイと進展…し、一筋縄でいかない三角関係が炸裂ッ！
一体レゴシの恋路と青春は、友情と情愛が絡み合う複雑怪奇はどこに転がっていくのか。今後が楽しみになる、良い第二章スタートでした。
いやー、全然叙情エンジン衰えんなぁ…素晴らしい。
来週も楽しみ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月7日

放課後さいころ倶楽部：第6話『ひよっこデザイナー誕生！』感想ツイートまとめ

放課後さいころ倶楽部を見る。
少女たちの夏休みは、まだまだ続く！
ボードゲームデザイナーを目指し苦吟する翠の前に、現れた謎の大物デザイナー。
彼の言葉を起爆剤に、初のテストプレイに踏み込んだ彼女のプライドが、メッコメッコに砕かれる。推敲の痛みを超えて、創作者の一歩を踏み出せるか！？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

そんな感じの翠ちゃん回。
話の流れが余りにも”スーパーくいしん坊”で、『イヤミな大物が煽って状況が動くっつーテンプレは、非常に強いだなぁ…』と、本筋関係ないところで笑ってしまった。
完全に『え？　たった一人でボドゲ制作を？』『できらぁ！』だったじゃん。ビッグ錠作画じゃん。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

さておき、『日本でボドゲは売れねー！』と、渋沢副会長とは逆方向にDisってくるジョージはん。
執筆当時から結構状況も変わったと思うが…ゲームマーケットとか盛況だしねぇ。ここら辺の肌感覚は、前線に身を置いていないので非常に不確かだけども。
お話に現実が追いついた、ということかしら。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

そんなボドゲ不毛の地（当時）日本で、一人頑張るデザイナーの卵・翠ちゃん。
能力もプライドも高い彼女は、完成品と大称賛以外受け取りたくないナイーブさで、作品を一人抱え込む。
ウンウン判る、死ぬほど分かるよー…マジ怖いからな、自分が作ったものを叩かれるの。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

ジョージはんの鋭いアオリで火がついて、一番信頼できる二人をテストプレイヤーに、いざ試運転。
ただ遊ぶだけなら『あー楽しかった！』でいいんだが、商品として世に出すなり、身内以外のプレイヤーを想定するのであれば、ある程度ボッ叩いて形を整えたほうがいいのは、ボドゲもTRPGも同じか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

ご意見番の立場から、意見の拳で創作者様の顔面を殴るのはセックスより遥かに気持ちがいいので、テストプレイでは『言い過ぎ』に注意しないといけない。
アラを見つけるほうが、魅力を掴むより比較的簡単だしね…結果として、批評はただ叩くだけになりがち。作品は磨かれるが、作者の心は大概持たない

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

そう考えると、個人的な信頼があって、ゲーム頭もそれなり以上の二人をテストプレイヤーに迎えたのは、非常に良かったと思う。
『あー楽しかった！　お前最高大天才！！』でもテストプレイの仕事は果たせない。天狗の鼻が更にニョキニョキ伸びて終わりだからね…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

信頼があればこそ、感じたことを素直に言える。直感系の綾が思いの外、クリティカルにゲームに足らないもの、過剰な部分を言語化し、フィーリングではなくアイデアとして改善案を出せていたのは意外…かつ納得。
ここらへんは、アナログゲームと出会って鍛えられた能力なのかもしれん。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

デザイナーの人格と努力は認めつつ、自分が感じ取った違和感はしっかり言葉にする。それを何が生み出しているか、どうすれば変わるかまで言葉に出来れば、なお最高だ。
そして製作者側は、傷つきまくるエゴをなんとか殺して、虚心坦懐に評価を受け止め、改善に繋げる必要がある。
ここ翠ちゃん頑張った

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

翠ちゃんデキる系なんで、他人に”NO”と言われると反発が先に立つ人だと思う。実際、ジョージはんには”できらぁ！”だったし。
徹夜し、アイデアを絞り出して仕上げたゲームに色々言われる。キツい体験であり、『うるせぇハゲ！』と反発してもしょうがない。
が、翠ちゃんはスルリと飲み込む。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

自分一人のアイデアでは限界があること。楽しみつつ、もっと良くなれるアイデアは沢山あること。”みんな”で協力すれば，一人よりもっと面白いものが作れること。
煽られて踏み出したテストプレイは、翠ちゃんに大切なことを教える。それは”ワンルーム”の改善であると同時に、もっと大きな意味を持つ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

『ゲームを通じて、青少年の人格が変化・成長していく』ってのが、この物語の骨子なんだと思う。
今まではゲームプレイの領域で起きていた変化が、今回はゲーム作成を通じて発生する。
傷つくことのポジティブな意味。変化と勇気。仲間のありがたみ。
そういうモノを、作ることで学んでいく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

”ワンルーム”を仕上げていく過程で、翠ちゃんはより魅力的な人間になっていくだろう。ゲームが良くなる歩みと、人間が良くなる過程はおそらくシンクロする。
それはアナログゲームを媒介に、非常に普遍的な青春と成長を捉えるこの話の醍醐味だ。ゲームと青春は、相補的な関係にある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

ゲームがあるから、三人の青春はキラキラ輝く。より楽しく、強い人間に変化すればこそ、ゲームはもっと面白くなる。
それは『ゲームを遊ぶ』プレイヤーの領域でとどまらず、『ゲームを作る』クリエイターの領域まで広がっていく。
お話の裾野が、大きく広がるエピソードだったと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

大好きな二人だからこそ、よく配慮された鋭い批評が飛んでくるし、それで生まれる傷にも耐えられる。改善点をブラッシュアップして、より善いゲームを作る気力も湧いてくる。
今まで積み上げた友情が、ゲームデザイナー・大野翠の飛躍を助けたわけだ。ええ話やないか…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

そう考えると、イヤミなジョージはんもかけがえのない青春の起爆剤なのよね。店長を通じて、しっかりフォローしてたけども。
基本トントン拍子に進む青春に、大人の苦さを足す。店長の仕事はそこにあるわけだが、優しすぎて役割果たせてなかったからなぁ…ジョージはん、いい仕事した。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

孤独な完璧主義の殻をぶち破り、頼れる仲間と一緒に”みんな”で成長していく。
ゲームデザイナーとして、一人の人間として。翠ちゃんの”次回作”が楽しみになるエピソードでした。批評を歪めず、素直に飲み込んで客観的改善に繋げられる率直さとタフさは、ほんと凄いと思うよ…。マジ傷つくからな…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

金沢の思い出に、デザイナー（見習い）デビュー。色んな体験をくれる夏休みは、まだまだ続きそうです。
次回はヤンキー VS 弱虫、真夏の決戦。美姫マキコンビは結構好きなので、コンビエピが来るとは嬉しい。
高まる体温、二人きりのゲーム、何も起きないはずがなく…。来週も楽しみ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月6日

Z/X Code reunion：第5話『オーバーブースト』感想ツイートまとめ

Z/X Code reunionを見る。
合宿生活を経て、少しはチームらしくなったかに思えたE組。しかし初のチーム対抗模擬戦で、問題点があぶり出される。
Z/X戦役のトラウマに焼かれる、黒の契約者・東雲纏。暴走する心は棘となり、敵味方区別なく襲う。
前途多難な問題児軍団の、明日はどっちだ！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

そんな感じの、黒と白の個別回である。
想定より遥かに、ガチガチ戦争だったZ/X戦役。その犠牲者たる纏のトラウマをどーすんの？　っていうエピソード。
並のアニメならお姉ちゃんが帰ってきたり、トラウマを乗り越えて綺麗な纏が爆誕するのだろう。
だが、これはReunion粒子漂うZ/Xアニメである。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

答えは優しくしてくれた衣奈Changに、対象を転写してチーム内依存関係を作る、でしたー！！
何かが解決したようで、その実全然快方には向かっていない。このアニメらしいオチの付け方に、俺のジャンク舌も大満足だ。
いや…全く根本的な解決にはなってないじゃん…マジ一時しのぎじゃん…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

一時しのぎだろうがなんだろうが、チームとして戦力として機能する関係性が樹立できれば、まあいっか！　ということかもしれんが。
迷いなく即ヤッパな纏、予想してたよりPTSD戦災孤児だったので、学校側がちゃんとケアしたほうが良いと思う。当事者レベルに解決を預けてんじゃないよ！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

解決策の正しさは横において、お話としては大体の座組も終わったんで個別に掘っていく流れ。
黒のど濃厚PTSDに、白の面倒見の良さが絡む形だ。マジで特に理由なく衣奈ちゃんが人格者で、彼女の善良さで全てがいい方向に転がる展開が面白かった。もうちょいシステムサイドでの改善をだなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

まー衣奈ちゃんの過去が彫り込まれたわけではないので、『いい子』でいる理由も存外黒いのかも知れないけど。
ほんわか萌え萌えTCGアニメに見えて、相当背景世界がどす黒く容赦がないので、『純白の善人』てのがなかなか信じきれない感じもある。マジろくでもないからなゼクス世界…街ボーボー燃えてた

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

そんな衣奈ちゃんがリーダーシップを取ろうとするE組、相変わらずダメダメです。
資質を生かした定番ポジションも、お互いの意図を読み取った連携も一切なし。まとめようとする衣奈ちゃんの話は一切聞かないし…。
二回目の勝ち星も、オーバーブーストでゴリ押しした感じだしな。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

ここらへんは後の課題というか、バラバラの個人がチームになっていくイベントが、今後あるのだろう。それを描くことで、個人を掘り下げることにもなるだろうしね。
今は盤面全体ではなく、コマ一つ一つにクローズアップするタイミング、と。
残りは緑と赤。どんなロクでもなさが襲いかかってくるのか…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

主役として、一足先に個別掘り下げやっておいた青コンビは、荒れるチーム模様を尻目に視線を絡め合い、お互いを大事にするのであった。
ホント主役周りだけ空気がネットリしてて、別時空なの面白い。もうちょいリゲル以外に目を向けないと、本筋から浮いていくよ主人公ッ！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

壁担当のDチームは、ダイヤブロックで作ったみてぇな造形の巨大ロボットで大暴れ。マジ”壁”で個別の人格ほぼなかったけども、TCGサイドでは色々ストーリー背負っとるんかね。
味方サイドだけで人数多い話なんで、そこら辺割り切るのは大事だと思うけども。サクサク行こう！！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

そんな感じの、黒と白の個別回でした。
サクサク行き過ぎた結果、戦災孤児がチーム内に新たな依存対象を見つけたE組。
今後黒白コンビで書かれること多くなると思うけど、ピュアな気持ちではまぁ見れねぇ。これがReunion粒子…オモロイなッ！！
来週も楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月5日

バビロン：第5話『告白』感想ツイートまとめ

バビロンを見る。
新域、自殺法、革新。依然として正体の分からぬ鵺の尻尾を掴むべく、正崎善は京都へ飛ぶ。
死へ誘う女、曲世愛の過去を探るべくたどり着いたクリニック。そこで語られるのは、形のないインモラルの薫香だった。
はたして鳥は、何処へ旅立っていったのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そんな感じのバビロン第5話。
これまで集団自殺やら域長選挙やら、デカい話がドカドカ回ってたところで、一旦のペースダウンである。最後にどデカイのが爆発したけどね…。
もともとこの作品の、象徴と雰囲気をくすぐってく筆先が好きなので、落ち着いて見れるのはありがたい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

京都来訪は愛の真実を捕まえるどころか、漠然と掴みどころのない印象を強めるばかりだ。
法に触れるどころか、常識や倫理の範疇に置いても”事件”は起こっていない。しかし、内面に作用する圧倒的な圧力は、叔父の語り（青山穣熱演！）からも感じ取れる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

セックスにまつわるコミュニケーションは、その後の副産物（家庭や子供だけでなく、こじれる感情その他含む）がデカいし、人間存在のナイーブなところに触れてもいるので、隠微でありながら明瞭な、一種矛盾したやり取りを要求される。
求めているのか、いないのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

鮮明にしすぎれば興が削がれるし、思い込みで突っ走れば性は簡単に一方通行の暴力に変わる。
結果、ひじょうに複雑なコードを組み合わせて、同意を暗号のように読み取りながら人類はセックスを積み重ねてきた。
愛はその暗号コードを、過剰に暴走させる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

『お前が誘ったんだ！』てのは、暴力行使者（主に男性）の便利な言い訳であるが、叔父は確信、あるいは信仰のように愛から溢れる誘惑を思い出す。
体験したものだけしか解らないが、絶対に揺るがしようがない猛烈な体験。存在するだけで、人の心を一方向に歪めてしまう存在感。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

新域においては”自殺”という方向に収束している、自由意志の暴走。それは愛の過去においては、”性”という方向に向いている。
…その両極（に思えるもの）を結びつける方法を、新域のバビロンは見つけていて、結果として大量の自発的死体が転がっているのかもしれないが。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

正崎さんは、愛から誘惑を感じない。彼女を回想する瞬間、世界はフッと闇に閉じ込められる。最悪だ。
しかし『そう思う』だけでは、法も権力も悪を咎められない。
内心の自由はこれを保証する。新域にも多分、近代国家の基本ルールは適応されるのだろう。
©野﨑まど・講談社／ツインエンジン pic.twitter.com/iKAMniE43i

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

熱に浮かされたような叔父の供述は、飛べない鳥が睨みつける中で進行する。
主のいない鳥かご。まるで檻のような、緑の窓。命のない瞳が見つめるのは、彼の障害を猛烈に規定するトラウマ…半年間の愛との接触だ。
©野﨑まど・講談社／ツインエンジン pic.twitter.com/vAa1F8QgYs

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

外野（精神科医、非当事者）からみれば形のない不安としか、判断のしようのない思い込み。
叔父は主治医として愛に向かい合い、あっという間に取り込まれる。どう考えても、そう受け取るしかない圧倒的なメッセージ。暴力的な誘惑。
©野﨑まど・講談社／ツインエンジン pic.twitter.com/3z8rVzdUPD

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

それは一個人の妄想の内側でしか起きておらず、外部から観測可能な”事件”としては観測されない。
事象だけを見れば、ただ話しただけ。肌のふれあいも、強姦も誘惑もなしだ。
しかし当事者としてそこに座れば、”事件”として受け止めるしかないほど強烈に、愛は誘惑する。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

この当事者性のズレは、後に彼女が中心に引き起こされる自殺禍に似ていると思う。
死ぬ当人は、死にたいから死ぬのだ。そこには内心の自由がある。
しかし外部から観測すると、死ぬ理由がなく唐突に”殺されている”ように見える。なにか強力な誘引があって、死ぬべきではない人が死んでいる、と。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

この不自然さを既存秩序が飲み込むべく、正崎率いる特捜部は大急ぎ、ロジックを組み立てているわけだ。
しかし叔父の語る見神体験にも似た、余りに強烈で、余りに個人的な感覚は、法では裁けない。常識でも倫理でも、それを俎上に載せる板を近代は持っていない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

結果として、まだ外部にいる正崎さんと陽麻は、この告白を持て余すことになる。
自分を誘惑の地から引き剥がし、それでもなお鳥に取り囲まれる。
それほど深く突き刺さった愛は、一体何を成し遂げたのか。何を学んだのか。謎は謎のまま残り続ける。
©野﨑まど・講談社／ツインエンジン pic.twitter.com/YisP2iEw3o

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

現象面だけ観測すれば、非常にプラトニックな叔父と姪の邂逅。その内側はドロドロのグチャグチャだが、妄想するだけなら大量殺戮だって無罪だ。
こと性の領域において、その自由…悪徳への自由は許しであり、救いでもある。溢れかえるリビドーがすぐさま現実になっていたら、この世は地獄だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そういうセーフティを、逆手に取る方法を愛は覚えたのかな、と思う。
それは個人の自由だから。内心を罪には問えないから。
自発意志を強力に侵略する己の才覚を、どう使い倒すか。
鳥かごから解き放たれて、彼女は飛び方を覚えたのかも知れない。その羽根が巻き起こすのは、死…なのか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

叔父の述懐を聞いたところで、性と死はつながらない。愛が自殺を教唆した証拠など掴めない。そもそも、既存の法に引っかかる過失を、愛は一切犯していない可能性がある。
曲世愛を追う正義の旅路自体が、強烈な空回りかも知れないのだ。少なくとも”正義と善”にこだわってる間は。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

現代秩序の破壊車を止めるには、現代秩序信奉を捨て、同じバビロンに落ちなければいけない。
なかなか悲惨な転倒が見えてきたが、正崎さんはあくまで現状、由緒正しい法と秩序の使徒である。
一線を越えず、成すべきことを成す。それを間違えれば、自分は悪だ。
©野﨑まど・講談社／ツインエンジン pic.twitter.com/EW2KcPDeSG

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そういう内面を、陽麻は制御された暴力…武道、あるいはスポーツによって体感していく。
汗は流れているが、（セックスとは違い）悪徳とされない健全な交流。
煮詰まった脳髄を白紙に戻す、竹刀を通じたコミュニケーション。
そういうもので分かり会える瞬間も、人にはある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

悪の悪たるを、善の善たるを常に問いただし、結論に至ったと思えても歩みを止めないこと。
正崎は”善”を問われて、不識と返す。悟後の修行こそ大事、と。達磨大師みてーだなこの検事…。
迷い、問い続けることこそ己の本文。正崎さんの緩みなさに、陽麻も僕らも好感を覚える。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そんな清潔さをあざ笑うように、鳴り響くコール。御簾の奥に隠されたものを、確かに指し示す画像のサイン。
曲世愛は、秩序の末端を握りしめて、死に誘う。『魔王に一人立ち向かう勇者になりたい』と、謎めいた言葉を残す。
©野﨑まど・講談社／ツインエンジン pic.twitter.com/YOXiUa2YM0

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

怖くて、不愉快で、いけない悪いことで、でもだからこそ触れてみたい。
性と死に関するインモラルな興味を、曲世愛を描く筆は上手く集約している。唇が、スカートの奥の曲線が、視線を跳ね除けると同時に引き寄せる。
露骨で醜悪で、見てはいけないはずだが、だからこそ瞳を惹きつけられる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そういう怪物性を、キャラクターに上手く焼き付けられているのはとても良い。
狂人の戯言のような、携帯電話越しの誘い。死と性を玩弄する悪女は、己を”勇者”と規定する。
ならば正崎が足場を置く既存秩序は、人民を虐げる”魔王”なのか。自殺者の群れは、悪に突き刺さる聖剣か何かか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

叔父を通じて過去を聞いても、携帯越しに現在に触れても、曲世愛は巨大な謎だ。女、性、あるいは死が、人類史においてずっとそうであったように。
多分彼女を判ってしまえば、話は終わる。巨大な謎（あるいは空白）を追って、性と死のインモラルが加速していく構造の真ん中に、一人の女がいる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そういう話なのだろう。ファム・ファタールな構造なんだな。
鳥は既に翼を得た。その羽ばたきが巻き起こすのは、一人の死では多分終わらない。魔王に擬せられた既存秩序、『生＝善』の固定観念を犯し殺すまで、怪物は飛び続けるだろう。
それに善は、後手後手で追いつけるのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

『多分無理じゃないかなぁ…』という超越感が、善と愛の対話には漂っていた。
追う側の男は、いつでも雁字搦めに不自由で。女は自由に、過激に飛ぶ。
その飛翔に巻き込まれて、自分で勝手に死ぬものがあっても、気にはしない。
©野﨑まど・講談社／ツインエンジン pic.twitter.com/Hqrk6bEY4y

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

愛はなぜ、捜査員を自死させたのか。善の牙城、秩序の本丸を魔王の城と定めて、攻略にかかったということか。
答えはない。ただ巨大な謎は思うままに身動ぎし、その波紋で沢山のものが水に沈む。迫りくる悪徳の洪水に、義人達はいかに抵抗しうるのか。
そんな感じの、息抜き回であった。…息抜き？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

多分この話、政治や経済や社会構造といった現象を追いかけ制圧してても、オチにはたどり着かない。
曲世愛という、人類の規格外が引き起こす波が、どこから来てどこに行くのか。そういう部分を追いかけないと、話が飲めない構造になっていると思う。
一個人VS社会、って話でもあるのか。革命だなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そんな彼女の底しれぬ謎を、輪郭を指でなぞるように更に深めるエピソードでした。
エロティックでインモラルで、醜悪だからこそ視線を奪われる。物語全員を牽引する邪悪なミステリを、上手く掘り下げれたと思います。
俺愛さん好きだな。無茶苦茶怖いけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

一個人が分かり合う（比較的）穏やかな時間は、衝突の轟音で絶たれた。
愛のタナトスに触れた特捜部は、いかに切り崩されていくか。破滅の予感が、奇妙な悦楽を持って背骨を這う。
いやまぁ…目線がこっち向いたらもう無理でしょ。明らかに書き方が、エロティック・ゴジラじゃん。エロ災害だよアイツ…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

悪を持って善をなさんと奮起する特捜部は、果たして加速する変化を掴めるのか。
齋の挑戦を受けて行われる、公開討論にはどんな爆薬が仕込まれているのか。悪徳の洪水で、崩れるものはなにか。
バビロン、静かに熱く加速しております。面白いなー。来週も楽しみ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

追記　ここら辺のバビロン概念は、ちょっとラスタファリズムな部分があって面白い。愛さんはレゲエなのだ。

しかし愛の言葉を虚心に読むと、バビロンの大淫婦として扱われてる彼女こそが、人民を抑圧するバビロンを打ち倒す勇者である、という転倒が見れるのよね。
実際新域構想は国民に秘密に、金と女で悪徳積み上げて成立する巨大なバベルなわけで、そういうものは確かにそこにある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

それを打ち倒すべく性と死を弄ぶ彼女は、実は構想に取り込まれた今の正崎さんと同じく、『悪を以て善をなす』ポジションに、少なくとも自己認識としてはあるわけだな。
しかし彼女の怪物性が、ストレートな評価を妨げる。性と死、インモラルな超越を手段に選ぶことで、常識の埒外から出てしまっている

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そこら辺のズレに気づかないまま、『最悪の女』だという認識のまま突っ走ると、正崎さんは一生後手を踏んだまま、『生＝善』という既存秩序をぶっ壊される気がする。
わからない、ということが怪物最大の利点なのだ。ミステリを回すダイナモでもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

だから、正崎≒男は愛≒女のことを、ずっと分からないまま話が進むのだろう。
その間に、愛と齋を中心に広がる災禍は世界を変えていく。死という新しいプロメテウスの火は、人類種を覆い尽くし新しい世界を齎すのか。
…今変換して、齋は『もたらす』でもある事に気づいた。こえーなシンクロニシティ…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

星合の空：第4話感想ツイートまとめ

星合の空を見る。
変わる。
ペアが変わる。姿勢が変わる。周りの見る目が変わっていく。
眞己の加入を触媒にして、学園の恥部たる男子ソフトテニス部が変わっていく。
仲間に敬意、競技に真剣。爽やかな風が吹き抜けて、諦観と暴力が、影の中待ち構えている。
諦めろよ、青春なんて。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そんな感じの、希望と絶望の相転移、星合の空第四話である。
眞己の加入を切っ掛けに、ポジティブな化学反応が連鎖している男子テニス部。クズどもは顔を上げ、周囲の視線も変化していく。
その前向きな変化の、脚をひっつかんでグイッと絶望の方へ。クソ親父め…マジ許せねぇよ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

ネタが出てくる順番もあって、どうにもエグくて黒いものばかりが印象に残ってしまうけど、んじゃあ眞己と仲間たちが果たしている変化は無意味なのか。桜井先生の骨折り
と期待は無駄なのか。
『そんなことはねぇ！』と吠えたくなるけども、クソ親父のニヒリズムは重くて痛い。なかなか否定を許さない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

あえて現実の重たさ、過ちの粘ついた感触から逃げずに、厳しい試練を課す。甘えなく鍛え抜いて、それでもなお輝くものを、群像を通じて描く。
そういう話になり得るかは、やっぱ最後まで見守らなきゃ確信できないところで、腹の落ちどころが難しいアニメだ。
だが、期待したくなる強さが確かにある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

このどっちつかずの視点は、男子テニス部の変化を見守る外部、その内側で変化している少年たちに似ているのかも知れない。
クズはクズ、バッタはいつか落ちる。そんなことは、クズだった子供らが一番良く知っているだろう。
同時に、そんな存在でいたくない願いも、彼らの中で疼いている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

自身と期待、迫ってくる諦めと怠惰。
誰の人生にも横たわる、裏腹な感覚。そのどちらに傾いていくかは、人それぞれであり最後まで分からない。
だからこそ、諦めを決めつけず押し付けず、『変われるかも知れない』という甘っちょろい希望を抱えたまま、少年たちは走り抜けるのか。
見守りたくもなる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

さて物語は、ポジティブな上がり調子で進んでいく。
中学生とは思えないほど、人間関係の視野と距離感が優れた眞己が仕掛ける、矢継ぎ早の変革。それが男子ソフトテニス部を変えて、周囲の視線を変えていく。
そんな変化の物語は、風通しが良くて気持ちいい。その快楽で終わらない所が、意地悪で誠実だ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

柊真が『最悪の組み合わせ』と眉間をしかめる、パートナーチェンジ。
それは前衛後衛の入れ替え、プレイスタイルの変化を生み出していく。自分すら気づいていない長所を、外野からじっと見つめた眞己が掴んで、自身に変えていく。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/LX3Ka8QkWU

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

自己主張と負けん気が強い曽我・竹野内ペアは、ブーブー文句を言いつつもしっかりコミュニケーションを取り、お互いの経験を共有していく。
前衛でやるべきこと、後衛が注意するべきこと。勝つためには相手をなじるより、出来ないことを助けたほうが良い。
そういうことを、対等な関係から学んでいく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

ヤンキー気質はカッコだけじゃなくて、プレイにもファイトが溢れている。ギリギリのラインを諦めずに、身体を投げ出してボールを拾う。
眞己がかき回した空気…”親分・子分”の気持ちよさに安住していた関係性が、どんどん新しい自分を見つける。
眞己は指導者としても、非常に優れた資質を持ってるな…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

ポジション変化に戸惑っていた序盤から、シーソーゲーム
を経て強みを活かす。”勝つ”という体験が、地べたに這いずる仲間に手を差し伸ばす余裕を作っていく。
勝つからこそ、強くなれる。そういう前向きな体験を、二人は積み重ねていく。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/Gn9rLLR93U

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

強くなると勝てて、勝つとテニスが好きになる。一緒に戦ってくれる仲間へ、敬意を持てるようになる。
ポジティブなフィードバックが回り始めたのを、眞己はやっぱりしっかり”見て”いる。そこに揶揄や上から目線はない。妙に嬉しそうだ。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/jCPz79zTVi

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

キャラクターの内面を勝手に推察することになるけど、眞己はソフトテニス部の活動、ド素人からエース、指導者まで一気に駆け上がる体験に、かなり太い希望を貰っているのだと思う。
自分の差し出した手で、人が変わっていく。俺たちもアイツラも、一緒にいたほうが良い。クズじゃない生き方ができる

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

体を動かし、手を水ぶくれだらけにしながら、眞己はそういう実感を抱きしめているのだと思う。
そういうものがないと、殴りつけられる痛み、あの男の子供だという虚無感に、蝕まれ食われてしまう。
ラケットはそんな感覚と戦うための、武器であり鎧なのかも知れない。それをアイツは…マジ許せねぇよ…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

樹・凛太郎ペアは前回掘り下げたので、試合描写はちょっとあっさり。視野角の広い凛太郎が後衛でしっかり支えて、樹が集中力を生かして決める。
そんな二人を、仲間も茶化さずちゃんと見るようになっている。青春だぁ…。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/US8OPLg87R

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

『つまんねー暑苦しいなんも変わんねー』とブツクサ呟きつつ、御杖さんが一生テニス部見てるのがホント好きだ。
家で自意識肥大させて、神絵師気取りでチヤホヤされてるより全然いいと思う。
ヘンテコ女が一生練習見てるのを、サラッと許容してるボーイズも好き。フツーじゃないけど、いい感じだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

ソフテニ部の控えめコンビ、月ノ瀬・石上ペアは前衛に求められる積極性に戸惑い…思い切ってそれを捨てる。
後衛二枚の奇策が、僕らのスタイル。眞己に教えられるでなし、自分たちで考えて選び取った変化は、資質にきっちりハマって結果を出す。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/kH1nlR99IW

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

『こうあるべき』という固定観念に縛られる必要はないし、自分たちの強みを見つけたら、それを自由に生かして良い。
（眞己が巧妙にガイドを引いた）成功体験の中で、おどおおどコンビは自信をつけていく。自分で考えて、自分で勝つ。優しさを強さに変えていく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

三組六様…壁役になった眞己・柊真コンビも入れれば四者八様の『良さ』を見つけた、コンビチェンジと練習試合。
それぞれの強さがあり、個性がある。それに刺激されて、知らなかった自分を見つけ、他人の勝敗に一喜一憂出来るようになる。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/t1md7eDKtZ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

どんどん”テニス”に、テニスをする”仲間”に前のめりになっている様子が、オッサン的には眩しく嬉しい。
敬意を持って他人に接し、自信を持って不乱に打ち込む。非常に理想的な『部活を通じた精神修養』を、眞己はしっかり駆動させている。
そこから少しはみ出た、凛太郎の陰り。今度の爆弾はここか…？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そんな変化を、学校という小さな社会はしっかり見ている。
期待し、自分のあり方を少し変える大人。クズはクズと見限って、高御座から見下ろす勝ち組。
色んな人が、ソフトテニス部をしっかり見ている。見守り、見下している。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/Unqv0hcJ6a

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

その色彩は一様じゃない。色んなあり方が沢山寄り集まって、社会は出来ている。信用は、すぐさま生まれはしない。
そういうシビアさを孕みつつ、眞己を中心としたソフトテニス部は変わっていく。変化を見つけた社会の方も、見方を変えていく。主体と客体の変化は、常に連動しているのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

『ソフトテニス部、結構やるじゃん』
そういう目線が届いたとき、（元）クズどもはどんな気持ちになるだろう。バッタのように舞い上がるか、少し照れて顔を赤らめるか。
今はまだ、そこまで影響は大きくない。でも、眞己を震源とする変化は確かに、仲間と世界を変えていっている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そういう変化をジワジワ積んでいる所が、作品がニヒリズムに膝を屈せず、泥の中の蓮を見据えて進んでいってくれそうな期待にも繋がる。
このネタ扱っておいて『人間、ヤッパダメです。クズはクズです』で落ちたらマジ最悪なので、ポジティブな期待と信頼ってのは大事なのだ、自分的に。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

子供たちの青春は、爽やかに疾走していく。
日常レベルで接触を増やし、コンビの意思疎通を加速させる。テニスへの熱意を高め、ランニングも手を抜かず。
川沿い青春階段の象徴性が、なかなかいい。そこは、爽やかな風の吹く場所だ。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/JXcGWsHPUW

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

自分たちが、たしかに何か変わってきた。その実感を与えてくれた眞己に、子供たちは現金に接する。
『掌返し早すぎ』と柊真はくさすけど、変化が無いより全然いい。しかし凛太郎くん曇るねぇ…あの幸せそうな家庭の奥に、どんな泥をしまいこんでんだか。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/ocTZ0WtGHl

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

貧しい家庭も、富める家もある。幸福に満たされた親子も、最悪の抑圧もある。
色んな連中が寄り集まってる、社会の縮図としての”部活”。
豪邸も団地も、照らす夕日は平等だ。
…本当に？
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/THWzXcfKKg

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

米炊けない柊真の当惑。ソッコー掃除担当してる飛鳥くんの成熟。なんもしねぇ御杖さんの甘え。
四人組の夕食風景は、眞己が生み出した変化の定点観測地なのかもしれない。
ワイワイ賑やかで、当たり前に幸福な食事。こういうので腹筋緩ましておいて…。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/Im8Evzj2MS

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

俺はマジで本当に、窓越しに切り取られた夕食が人生の真実であって欲しい。
クソ親父が垂れ流す暗黒と諦観が、世界の全部だなんてあんまりな結論じゃあないか…。
制作側も、多分そんな願いを抱えつつ、しかし甘えない厳しさで己の夢を試している。
当たり前の幸福は、真実と信じるほど強いのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そんな強度試験を、ソフテニ部の明るい青春、その中心にある眞己でもって走ろうってのが、このお話の狙い…なのかなぁ。
自分たちが信じたいものを、端っから結論決めずに、想定できる最悪強度でボコボコ叩いて抜かりなくチェックするのは、やっぱ誠実だと思うよ。腹は痛いけどさ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

眞己が引き起こした変化は、強く強く伝播していく。
桜井先生は対戦相手に渡りをつけ、大人にしか出来ない責任を果たしていく。四六時中テニスのことを考えて、勝つことに夢中になる。
…グロ絵アニメに夢中な御杖さんは、まぁ、そのなんだ。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/EDSFX3eBDH

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

降って湧いた、強豪との練習試合。
眞己は負けて当然の試合を、願ってもないチャンスとポジティブに受け取る。そういう認識を言葉に変えて、しっかり部員に差し込んでいく。
バッタのように元気に跳ねて、空の高さを思い知ろう。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/dq90kE49IM

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

良くも悪くも、ソフテニ部のバカ達はムードに流されやすい、ということかも知れない。それを見据えて、積極的にムードを変えていく眞己の客観性は、やはり卓越している。
プレイが巧いだけでなく、”部活”を作る能力、集団の真ん中に立つ資質が優れている主役なのだな。知性とカリスマがある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

ここまで順当にぴょんぴょん飛んでると、上がり調子が止まった時が怖くもある。
眞己がいない…あるいはその影響力に陰りが出たとき、クズはクズに戻ってしまうとしたら。
『人は変われない』というニヒリズムに、リアルな裏書きが付いてしまうことになる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

作品が書きたいものを推測して、現状のパーツを仮組みしてみると、眞己がカリスマの座から滑り落ちる展開は一度来るんだろうなぁ、と思う。
『ただでさえハードコアな人生を、奥歯噛み締め必死に生きてるこの少年に、そんな試練を背負わさなくても…』とも思うけども、まぁ覚悟はしておこう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

逆に眞己を（一時的に）失うことで、バッタのようにぴょんぴょん飛び跳ねるだけじゃない、変化を永続的に焼き付ける人間性を部員が持っていると、示すことにもなるだろう。
大人びた天才児が生み出した変化を、外付けのブーストで終わらせず、自分のものに変えられるか。
バッタの課題は、多分ここだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

陰りを抱いているのは子供だけでなく、桜井先生も過去に”何か”があったらしい。
勝ちだけ求めて、良いことはない。部活は楽しければいい。
そうやって諦めるだけの”何か”を超えて、変化に踏み出す勇気。バッタの飛躍は、そんな波紋も生み出している。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/Tk39dtFkAF

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

強豪校の指導者が、勝ち負けを超えた心への影響をしっかり配慮して、試合を決めてる描写があったのが助かった。
クズもいるけど、善人もいる。立派な人も、呆れ果てたゴミも共存しているのが世界のあり方だ。
子供たちに”結果”を残してやりたいと、試合を組んだ桜井先生はどっちなのだろうか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そこら辺も、話が転がるうちに見えてくるだろう。
変化が子供の専売特許ではなく、彼らの勇姿を見た大人にも波及していくところは、世界が狭くならなくてとても良い。
『「勝ち負けなんてどうでもいい」ってのは、諦めてしまった大人の身勝手』
その言葉こそが、後の暗闇に向かって微かに伸びる光だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

んではい、その暗闇タイムなわけですが。マジ許せねぇよ…！（思い出して怒りの発作）
爽やかな青春川辺を駆け抜けて、薄暗い闇へ、人の目の届かないパーソナルな領域へ、眞己は引きずり込まれていく。
中学生が否定するには重すぎる、血縁の鎖。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/dWNH1DWld1

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

暴力と諦観はズルズルと、才気あふれる青年の足を引っ張り、無力な子供へと退行させる。甦る記憶と痛み、押し付けられる歪み。
やっぱオヤジが登場するシーンは、意図して画面が傾いでるなぁ…。クズの重力が、世界を歪ませるのだ。
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/ic5hoPskFa

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

諦めろ。受け入れろ。学校が教えてくれるものなんて、リアルな世界じゃ何の役にも立たない。
クソ親父の容赦ない暴力は、眞己のラケットを簡単にぶち壊し、”現実”を見せる。
自分が信じたかったとうそぶく、キラキラな夢と希望。それをまだ抱えてる若さに嫉妬し、拳を振り下ろす。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

『絶望なら一人でやってろ。他人に泥はね飛ばすんじゃねぇよ…』って感じでマジ許せねぇけども、眞己は父を否定できるほどには、強くも大人でもない。血の楔は深く深く眞己に突き刺さって、変化を巻き戻し、地べたにうずくまらせる。
その痛みを、子供たちは誰も知らない。親すらも。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

Cパートに挿入される暴力は、部活とは正反対にひと目の届かないところで行わえる。
家庭というクローゼット、薄暗い社会の隙間。見つけることで生まれる変化と、見つけられないことで腐敗していく傷口。
その対比には、まだブリッジがかかっていない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

『気づいたところで、ガキに何が出来るんだよ』ってのはある。無力さを思い知らされるだけだとしても、目を開き、しっかり”見る”ことからしか、変化は始まらない。
だから子供たちの誰かが、余りに無敵の眞己の幼さと弱さに、ちゃんと目を向けてほしいな、と思う。
どんだけ優秀でも、神様じゃねぇんだ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

眞己が被虐待児であると早めに明かしたのは、悔しいけど妙手だな、と思っている。
この情報がないと、充実天才児がガンガン世界を変えていく、上り調子だけのサクセスストーリーになりかねない。
しかし僕らは、イヤってほど知っている。その天才児が、どれだけ孤独で傷だらけで、惨めな気持ちかを。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

知ってしまっていると、眞己が部活から受け取っている救いとか、クールな態度の奥に凄く血まみれの真摯さがあることとかも、理解ってしまう。
部活を蘇らせ、クズ呼ばわりしてくる視線を跳ね返すことは、眞己にとって単なるゲームではなく、生存のための武器であり鎧なのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そういうシリアスな痛みと切迫感があるからこそ、トントン拍子のサクセスも飲めるのかも知れない。いざとなったら、余裕で全部ぶっ飛ばされる”怖さ”あるもんな。
そんなヒリ付きにビビりつつも、クズ部活がチームになり、一歩ずつ実力がついていく描写は心地いい。変化が波及していく動きも。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

そんな感じの、明暗半ばする青春群像絵巻でありました。
ネガティブなシーンは最後にちょっとだけなんだが、お出しするタイミングと圧倒的な”圧”で、前半のサクセスムードを凌駕する存在感があるのが、なかなか巧い。
巧いじゃねぇよ！　眞己が傷ついてんじゃねぇかコラ！　ぜってぇ許さねぇからよ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

ほんと見てると怒りの発作がわんさわんさと湧き出してきて、心揺さぶられる話だなぁ、と痛感する。
頑張れ眞己、負けるな眞己。そんな気持ちで、クールな天才児の部活変革を見守る体験は、なかなかいい感じだ。
変わっていく彼らが、どこにたどり着くか。
テニスを通じて世界を描く物語。次回も楽しみ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日

しかし、主役の名前が”眞の己”であることから鑑みても、クズ親父が押し付けてくる絶望を跳ね除けて、変わっていける自分を掴むまでの物語なのだろうなぁ…そうであって欲しい。
””真≒眞”を共有する柊真は、何を見つけるんだろう？
柊の花言葉は『用心深さ、家族の保護、先見の明』
あるいは追儺の木か

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月4日