イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

後宮の烏

後宮の烏:第13話『想夫香』感想

死してなお、黒炎の如く燃え盛る情念こそが人を鬼にするのならば、正しい弔意の儀礼こそがその呪いを祓う。 烏妃最後の葬礼、想夫香芳しき後宮の烏、第13話である。 一連の事件の悲しき真相、そこを超えて穏やかに綴られる決着と、詩情豊かに続いていく未来…

後宮の烏:第12話『兄妹』感想

人は儚くなりし兄を思い、神は封じられし妹を案じる。 微笑ましくすらあるはずの親愛が超常の理と混ざり合う時、生まれる人生の荒波。 二組の兄妹、その末路が描かれる後宮の烏、第12話である。後宮の不可思議事件簿を追いかけつつ、通奏低音のように鳴り響…

後宮の烏:第11話『布石』感想

綺羅びやかな檻に閉じ込められた、寵姫という鳥達の絶唱。 そろそろアニメ最終章が見えてきた、後宮の烏第11話である。 後宮の不可思議事件を解決しつつ、その隙間に埋め込まれてきた想夫香の女、謎めいた梟、先代烏妃を慕う冬官といった要素が、一つにまと…

後宮の烏:第10話『仮面の男』感想

嫋嫋たる琵琶の音に宿るのは、死者の妄執か生者の無念か。 後宮霊能探偵物語、清らかなはずの音曲にも幽鬼は縛られる……という第10話。 異国の五絃琵琶をBGMに、幽鬼を見捨てず衆生を救う寿雪の生き方と、それが広げた彼女の世界……それ故宿命との間に生まれる…

後宮の烏:第9話『水の聲』感想

死者の声を聞くのは生者のみにあらず……霊的叙述トリックが冴える、後宮の烏第9話である。 人との出会いや大きな感情的変化が続いてきた話を一旦落ち着かせて、オーソドックスな霊能探偵物語……と思わせておいて、異能を誇る烏妃にも解決できぬ長年の妄念が事…

後宮の烏:第8話『青燕』感想

我ら皆籠中の鳥……されど高き天を求め、星を仰ぎ見る者なり。 後宮の烏、第8話である。 夏の王と冬の王の因縁を巡る物語が一段落し、霊界探偵のスタンダードな事件簿が展開された。 しかしテーマとする対象がこれまでとはちょとズレていて、華やかな妃たちと…

後宮の烏:第7話『玻璃に祈る』感想

陰陽相交じる宿命の旅路、決断の先に続く道とは。 後宮の烏、第7話である。 前王朝の無念は晴らされ、皇太后の呪詛を払って幽鬼は常世へ……そして現世の律令が改まり、寿雪は追われる立場ではなくなった。 露骨にタメだった前回の遺産を、一気に使い切るよう…

後宮の烏:第6話『夏の王、冬の王』感想

暴かれる王朝秘史、後宮の烏第6話である。 一千年に及ぶ人の歴史、その背後で超常的な影響力を及ぼしてきた烏漣娘娘。 烏妃はその巫女であり、生命と運命を握られた囚人でもあった。 冬宮は表の歴史から廃されし巫女王の黒き王宮であり、国家永年の安楽を約…

後宮の烏:第5話『懐刀』感想

血と花に彩られし宮廷夢幻譚、皇帝を侵す病に立ち向かう序章……後宮の烏、第5話である。 『本丸を落とすには、まず外堀から!』ってんで、側仕えの宦官の過去を掘り下げ、禁じられた依頼が烏姫に届くまでを丁寧に積み上げていく。 衛青の迷い路が宮廷の外に出…

後宮の烏:第4話『雲雀公主』感想

幽玄なる後宮ロマンティックミステリ、かそけき依頼人を通じて寿雪の新たな家族を描く、第4話である。 血なまぐさい謀略は後景に置いて、花鳥を活かした爽やかな話運びの中で、心のすれ違いが生み出す後悔、それを優しく遠ざけてくれる縁のかけがえなさを、…

後宮の烏:第3話『花笛』感想

華やかに切なき後宮霊能ロマンティック・ミステリー、一話完結形式の第3話である。 運命の出会い、正当なる復讐を描いた第1エピソードが終わり、ややゆったりした筆使いで烏姫の日常を描くお話となった。 僕はこのアニメの、けして声を張り上げず静かに進ん…

後宮の烏:第2話『翡翠の耳飾り 後篇』感想

と、ときめく……。 そんな感じの後宮霊能ミステリ、第二話である。大変良かった。 翡翠の耳飾りに取り付いた幽鬼を憐れみ、慶して遠ざけられている黒の后に事件を持ち込んだことが、仇敵を正当に罰するきっかけを作る。 個人レベルの怨霊祓いが、国家レベルの…

後宮の烏:第一話『翡翠の耳飾り』感想

集英社オレンジ文庫原作の、中華ファンタジーのアニメ化第一話。 後宮に身を置きながら夜伽をしない、異能の力を持つ謎めいた妃・烏妃。彼女のもとに簒奪の廃太子が現れ、翡翠に宿る幽鬼の由来を尋ねる……という、雰囲気あるスターとである。 『オメーラ予習…